4 5 前述のうち、急性外耳炎の原因は耳掃除のときに固い道具を使用して皮膚に傷を生じたことや、ピアスの孔などを不潔に扱っていたことなどある程度、原因に心当たりがあることが多いようです。急性中耳炎は鼻汁や発熱などの感冒症状があって、小児科や内科で既に感冒に対しての内服の治療中などに突然生じてくることがあります。また、日中元気に遊んでいたお子さんが、夜間急に耳痛の訴えをされるようなときのほとんどは急性中耳炎によることが多いようです。顎関節症は、顎の関節やその周囲の筋肉の炎症などから生じる痛みなのですが、顎を使うとき、すなわち食事の時やあくびをしたときなどに耳の周囲の痛みを生じることで推定することが可能です。また、咽頭炎や扁桃炎のときにも、のど(咽頭)の奥が耳の奥に解剖的に近接するため、耳には異常がなくても耳の痛みとして感じる(医学的には放散痛と呼びます。)ことも多いようです。 耳痛に対しては、まず解熱鎮痛剤で当面の痛みをとり翌日の耳鼻咽喉科診療を行えば、特に問題のないことがほとんどです。ただ、乳幼児の急性中耳炎について、その経過中に(多くは片方のみの)耳の後ろの腫れで耳介が立ち上がってみえるような状態が見られたら、重症化した合併症として生じる急性乳様突起炎となっている場合があります。(図4)重症のためその治療にあたり、抗生物質を注射で投与することや、手術による排膿を必要とすることがあるため早期に耳鼻咽喉科の救急受診を行ってください。 (図4) ①耳掃除をした後や、水泳や洗髪で耳に水が入った後から急に耳が詰まった感じがするとき。 →外耳道に原因があるもの(外耳炎による狭搾、耳垢(耳あか)塞栓など) ②耳掃除をしていて、誤って耳の奥を道具で突いてしまった後から聞こえが悪いとき。 →鼓膜の外傷(耳かきによる外傷性鼓膜穿孔など) ③感冒症状や鼻炎で鼻の調子が悪かったとき。 →中耳腔の異常(急性中耳炎、滲出性中耳炎などによる鼓室内への液体の貯留によるものなど) ④特に誘因はなく、突然耳鳴りとともに難聴になったとき。くしゃみや鼻を強くかんでから急にめまいとともに聞こえなくなったとき。 →内耳の障害(突発性難聴、外リンパ漏など) ⑤ふらつきやその他の脳神経の症状も同時にみられるとき。特に口の周りがしびれた感じがするとき。 →内耳より中枢の障害:後迷路性難聴(脳血管障害の一症状、聴神経腫瘍など) それぞれの疾患を診断して対応する必要があります。頭痛やその他の脳神経の症状がある場合は、脳血管障害など一般の救急外来での確認も必要となることがあります。 難聴のみで一刻を争うような救急処置を行う必要があるものはあまりあり盪 突然の難聴 突然に難聴を生じる疾患には以下のようなものがあります。 急性乳様突起炎による右耳介の屹立右耳後部の発赤・腫脹耳痛についての解説 突然の難聴への対応 救急受診をする目安
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