家庭で知っておきたい耳鼻咽喉科の救急
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 ①耳(外耳道異物):綿棒の先など自分で入れてしまった物(無生物)と、1819 異物が長い間停滞することにより体の機能の邪魔をします。また、炎症反応を生じて摘出が難しくなることもありますので、異物症がわかった場合、基本的にはなるべく早期に医療機関への受診や問い合わせを行うことがよいでしょう。異物症は、その停滞している部位や異物の内容により、全身麻酔による手術で取り除かないといけないような状況にもなります。また、手術を行うこと自体が呼吸などの場所のため生命への危険があるものです。異物症の最善の治療は、異物症をおこさないような予防の心がけが大事と考えます。  ②鼻(鼻腔異物):子どもが自分でおもちゃなどを入れてしまうことがほ ③−1 のど=食物の通路(咽頭異物・食道異物):子どもがおもちゃやコインなどを口にくわえて遊んでいて、誤って飲み込んでしまった場合   また、魚の骨などが食事の時にひっかかってしまうことや、部分義歯 ③−2 のど=呼吸の通路(喉頭異物・気道異物):咽頭・食道異物と同様に、口にくわえていた物などを誤って吸い込んでしまったときに生昆虫など偶然飛び込んできた物(有生物)などがあります。 とんどです。 が多いようです。 がはずれて飲み込んでしまうことなどもあります。 じたりします。喉頭にものが詰まると、窒息となるため大変危険です。小さな子どもがピーナッツなどの豆類を食べていて誤って吸い込むと、当初はひどい咳きこみがでますが、気管支にひっかかると咳症状が収まってしまうこともあります。この状態でしばらくしてから気管支の炎症からひどい肺炎を生じたりすることがあります。親のみていないところで生じた気道異物では、肺炎になってはじめてわかることもあります。  異物により呼吸困難が生じている場合のみ、家庭での救急対応が必要となることがあります。その他は、逆に異物をとろうとして間違った手段を行うとかえって難しくなることがあります。  例えば、魚の骨がのどに刺さったとき(咽頭異物など)には、一般的にはご飯やイモ類などの丸飲みなどが行われているようですが、以下の理由であまりすすめられません。すなわち[1]咽頭の上方に刺さっていた異物がいったんはずれて、下方の異物となる危険があること。(咽頭の異物が食道の異物となることがある。)[2]咽頭の内腔に異物の表面が見えていたはずなのに何度も飲み込むことで深く刺さりこみ、内腔側から見えなくなること。(頸部を手術で切開して摘出する必要が生じる。)などです。このため、もし魚の骨がのどに刺さったときに家庭で行ってみる対応としては、うがいをしてのどから吐き出すことを試みるくらいがよいでしょう。2、3度行っても取れない場合は、なるべく早期に耳鼻科への受診をしていただく方が、早道のようです。  まず、異物症を発生させないことが1番です。すなわち、小さな子どもさんがいる家庭では、子どもさんが口にくわえて誤飲してしまうサイズのものは、子どもさんの手が届かない高さや場所に置く必要があります。母子手帳にはどれくらいのサイズが危険であるかなどを記載してあるものもあります。  次に子どもさんがおもちゃの部品などを口に入れて遊んでいるのを発見したときの対応です。このとき、つい大声を出したりすると、子どもさんが驚いて息を吸い込み、気道へ誤嚥を生じたりすることがあります。大声を出すことをぐっとこらえて、他の事に気をそらせながら徐々に口の中から出させるようにしむけます。 気道異物に対する家庭での救急対応について 異物症への対応

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