15(図12) 外科・脳神経内科への救急受診を必要とします。(前記の①)中枢性でない(末梢性の)顔面麻痺については翌日の診療で問題ありません。 動きの差でゆがんだりしてひきつったようにみえるため、周りの人が先に気がつくこともあります。顔面神経という脳からでて、顔面の表情を動かす筋肉へ動きの指令を伝える神経が麻痺するための症状です。顔面神経は知覚の神経ではないため、通常、痛みは感じません。(顔面神経痛とは違う病気です。)ただ、顔面神経麻痺の原因の多くは、以前に罹患したヘルペスの仲間のウイルスが神経に住みついていて、体調が弱った時など(風邪を引いたときや夜更かしをしたときなど)にふたたび暴れて(再活性化して)神経に炎症をおこして生じると考えられています。神経の炎症の状態により耳介や外耳に炎症や湿疹が出現すると耳の痛みを自覚することもあります。(図13) 突然に顔面の片側の表情筋が動かなくなる状態です。(時に両側が同時に悪くなることもあります。)(図12)目の周りや口の周りの筋肉の動きが悪くなり、目が上手く閉じれなかったり(目を閉じても白眼が見える)、口が上手く閉まらず食事のときに水がもれたり、頬を噛んだりするようになります。笑うと左右の(図13) 顔面以外の頭部や胸、腹部にも外傷がある場合は脳神経外科や外科による救命の診療が優先されますのでそちらの救急受診がすすめられます。意識の清明な顔面のみの打撲外傷は耳鼻咽喉科のみでの治療でよいのですが、目や歯にも障害がおよぶものは眼科や歯科・口腔外科との共同での診療が必要となります。 打撲や骨折の状態により下記のような疾患があります。 ①耳介が切れているとき。耳介が腫れているとき。 →耳介の外傷(耳介の裂傷、耳介血腫など) ②視力に異常はないが、眼部の打撲により両目でみるとものがずれて見えるとき。(複視症状) →眼の周囲の骨の骨折(眼窩底骨折、眼窩内側壁骨折など) ③開口すると痛みや引っかかりがあるため制限され口が開かないとき。 →開口障害を伴う状態(上顎骨や頬骨、頬骨弓の骨折、下顎骨骨折など) ④ちょうど鼻の部分のみ打撲して一時鼻出血があったが、鼻が腫れて、鼻の線がゆがんでいるかどうかは不明なとき。 →鼻根部の打撲(鼻骨骨折など)(図14) ⑤口腔内を噛んでしまい、舌が大きく切れてしまったとき。歯ブラシの途中誤ってのどを突いてから出血するとき。 →口腔内の大きな裂傷(舌咬症、歯ブラシ等による咽頭の裂傷など) 眤 顔面・頸部の外傷 顔面・頸部の打撲や外傷は耳鼻咽喉科が診療にあたります。このうち、(図14) 左末梢性顔面神経麻痺の症状ハント症候群(水痘・帯状疱疹ウイルス)14による耳介の湿疹顔面打撲による鼻骨骨折額にしわがよらない瞼が閉じ切らない鼻にしわがよらない口角がひっぱれない鼻骨骨折顔面神経麻痺の解説
元のページ ../index.html#11