22231)最近増加しています。毎年5〜7月頃に多く、その後やや減少し、秋〜冬季には再び多く発生しています。 2)食肉(特に鶏肉)が原因になることが多く、カンピロバクターに汚染された鶏のささみなどの生肉や加熱不十分なバーベキューなどを食べたことが報告されています。生肉などは、早めに調理し、十分加熱しましょう。 3)下痢(水様性ときに粘血便)、発熱、腹痛が主な症状で、軽症から入院を要するものまであります。 4)多くは水分補給や点滴だけで1週間くらいで治りますが、抗菌剤が必要なこともあります。 1)O157、O26などのベロ毒素を産生する大腸菌で、1982年に米国でビーフハンバーガーが原因となった食中毒ではじめて見つけられました。 2)家畜などの糞便に汚染された食品、食肉、水が原因のことが多く、少量の菌量でも発症します。また、感染すると便に1週間以上にわたり菌を排泄するので二次感染に注意してください。 3)激しい腹痛、下痢、鮮血便、重症例では溶血性尿毒症症候群を起こします。 4)肉などの食材は十分加熱して食べましょう。また、井戸や貯水槽の衛生管理に注意してください。 1)小型球形ウイルスと呼ばれていましたが、2002年にノロウイルスと命名されました。 2)人の腸管で増えたノロウイルスは、便で排泄され、これが海に流れ、二枚貝(カキ、シジミなど)に蓄積されます。汚染された二枚貝を生食したり、料理中に手指から汚染した他の食品を食べて、食中毒をおこします。 3)感染力の強いウイルスで、感染した人の便やおう吐物、手指などに接触したり、飛沫吸入で二次感染を起こし、集団発生となることもあります。 4)突然の吐き気、おう吐で急激に発症し、続いて、下痢、腹痛、発熱がおきます。かぜのような軽い症状や症状がなかったりする人もいます。症状の持続期間は約3日間で、予後は良好です。 5)ノロウイルスの消毒剤は次亜塩素酸ナトリウムです(消毒剤の項を参照)。汚染された衣服は熱湯で消毒してください。 サルモネラ カンピロバクター 腸管出血性大腸菌 ノロウイルス 季節 微生物 サルモネラ菌 夏に 多い 腸炎ビブリオ 冬に 多い ロタウイルス ノロウイルス 腸管出血性大腸菌 カンピロバクター 季節に 関係ない 黄色ブドウ球菌 腸チフス・ パラチフス 赤痢菌 潜伏期*主な原因 12−36時間 鶏卵、肉類、ペット 6−12時間 魚介類の生食 1−3日 糞便汚染器物の 接触 1−2日 二枚貝、患者糞便 2−8日 食肉、野菜 2−11日 鶏肉など 1−5時間 汚染された手指 10−14日 保菌者の尿、便に 汚染された水など 水様便、稽留熱**血便、粘液便、 しぶり腹、腹痛 *潜 伏 期:感染して発症するまでの期間 **稽留熱:持続する高熱(日差1℃以内) 1−5日 水、汚染された手指から 主な食中毒の特徴 主な症状 その他 水様便、血便、 発熱、腹痛 水様、血便、 腹痛、おう吐 集団発生 海水温が 上昇すると増加 白色水様便、おう吐 乳幼児嘔吐下痢症 水様便、おう吐 集団発生 鮮血便、水様便、 腹痛、発熱 溶血性尿毒症 症候群 水様便、おう吐、 腹痛、頭痛 小児に多い 水様便、おう吐 毒素(熱に強い)型 海外でも感染 海外でも感染 主な微生物による食中毒を説明してください。 主な食中毒を表にまとめました。症状や潜伏期など微生物によって異なります。重要な微生物による食中毒のポイントも記載しました。 Q5A51)汚染された食材(特に肉、卵、卵製品、原乳)やはちゅう類のペット(ヘビ、トカゲ、カメ)が感染源となります。 2)原因食品は、生卵、オムレツ、卵焼き、自家製マヨネーズ、親子丼など鶏卵を原料としたものや食肉加工品、生肉、生レバーなどが報告されています。サルモネラ菌は70℃、1分以上加熱が必要です。 3)鶏卵のサルモネラ汚染は卵殻だけでなく卵黄、卵白でも問題となっていましたが、現在は衛生対策がとられています。それでも、ひび割れた卵や割れた卵を使用することはやめましょう。 4)下痢、 38〜40℃の発熱、腹痛が見られ、多くは1〜4日程度で症状は治まりますが、長引くこともあります。サルモネラ菌が腸から血流に入ってしまった場合は抗菌薬による治療が必要となります。
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