家庭でできる感染対策-食中毒Q&A-
13/18

1819 かつて「黒死病」としておそれられたペストは、感染したネズミの血液を吸ったノミが、さらに人を咬むことで伝播することが知られています。今でも、アフリカや南アメリカでは、いきなり一夜にして一家全員が死んでしまうという事例があるそうです。また、動物が媒介する感染症として気をつけなければならないものに狂犬病があります。現在、日本では徹底的な野犬対策がとられた成果として1957年以降、国内で犬などに咬まれたのちに発症した例はありません。しかし、2006年8月にフィリピンで犬にかまれたのちに日本に帰国し、発病し死亡した例が報告されています。また、狂犬病は、実は犬だけではなく、アメリカではアライグマやスカンク、コウモリ、ヨーロッパではキツネ、アフリカではイヌ、ジャッカルやマングースなどの動物からも感染しています。また、ネコや馬、牛なども感染し感染源になることがあります。このように、現在の日本の、広島の衛生状況は実感しにくいとは思いますが、世界においてこのような病気がまだあることを知っておいたほうがよいでしょう。海外に行った場合、むやみに小動物に構わないようにしましょう。  また、蚊が媒外する感染症として、日本では日本脳炎が有名ですね。海外ではマラリアやデング熱、ウエストナイル熱など、話題に事欠きません。長袖の服を着る、虫よけを塗っておく、蚊取り線香をたく、蚊帳を吊るなどの対策は重要です。また、ボウフラ対策も環境によっては考えましょう。不必要に戸外で水を溜めたり、古タイヤなども水が溜まってボウフラが湧くことがあります。気をつけましょう。  日常生活においては、ゴキブリやハエが食品に、どこからともなく病原微生物をつけてしまうことは、もちろん気持ち悪いですよね。彼らも生きているのですから、ほどほどにではありますが、できるだけ避けるようにしたいものです。 文責:広島大学病院 横崎 典哉 昆虫・小動物による感染経路

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る