家庭でできる感染対策-食中毒Q&A-
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RR 1617 ところが、次亜塩素酸ナトリウムには、金属を腐食させる性質があります。そのため金属製品の消毒には不適当です。また、濃度や換気に注意しなければ人体への毒性にも影響があります。さらに、手で扱ったときの肌の荒れようも消毒用エタノールに比べて影響は大です。また、次亜塩素酸ナトリウムは、概ね希釈して用いることが多いのですが、きちんと濃度を調整しないと消毒効果があらわれませんし、物品ごとに濃度が微妙に異なることが多いので、家庭では使いにくい面があるでしょう。  一方、消毒用エタノールは火気厳禁であることはいうまでもありません。 次亜塩素酸ナトリウム 註:どちらの消毒薬もほぼ一般細菌に効果があるのですが、芽胞という状態になった細菌に対しては、消毒用エタノールは効果がありません。次亜塩素酸ナトリウムには多少、効果があります。芽胞とは細菌の一種の休眠型です。芽胞は、炭疽菌、セレウス菌などのバチルス属と、破傷風、ボツリヌス菌などのクロストリディウム属の細菌が、栄養不足や乾燥など増殖に不都合な環境になると、菌体の一部に形成されます。芽胞となると、細菌はいっさいの代謝が止まりますが、生命は維持され、適当な環境になると再び細菌に復元し増殖します。芽胞という状態になると物理化学的処理に対する抵抗性が極めて高くなり、例えば熱では100℃では長時間の加熱でも死滅しません。また消毒用エタノールなど多くの消毒剤も効きません。このような場合、洗い流すしか手立てがありません。こんな小さな微生物も、生き残るのに必死なのですね。  ノロウイルスに感染した人の吐物や下痢便が床についたときに、その吐物や下痢便をしっかり拭き取ったのちに、0.1%の次亜塩素酸ナトリウムをしみこませた布やペーパータオルで覆うか、浸すように拭きましょう。ただし、換気を十分に行い、10分程度経ったら水拭きをしましょう。 感染リスク 消毒用エタノール 一般細菌 一般細菌 消毒用エタノールと次亜塩素酸ナトリウムの違いのまとめ 効果のある微生物 エンベロープのあるウイルス インフルエンザウイルスなど エンベロープのないウイルス にも効く ノロウイルスなど 注意事項 火気厳禁 ・気化した時の 毒性に注意(換気) ・濃度に注意 ・金属には腐食性が あるため不適当 濃 度 (原液の濃度が6%の商品) 0.02 % 水を加え、合計3Lにする 0.10 % 水を加え、合計3Lにする 次亜塩素酸ナトリウム消毒液の希釈の仕方 ピューラックス など 原液10mlに 原液50mlに ミルトン など (原液の濃度が1%の商品) 原液60mlに 水を加え、合計3Lにする 原液300mlに 水を加え、合計3Lにする 濃度の異なった次亜塩素酸ナトリウムの使用例 0.02%  ノロウイルスに感染した人が家庭内にいる場合に、トイレの便座やドアノブの消毒に用いてください。また、ノロウイルスだけでなく、流行性耳下腺炎にかかった患者さんの唾液や、流行性角結膜炎にかかった患者さんの涙がついた衣類等を洗濯するときに、洗剤をもちいた洗濯をし、脱水をしたのちに、再度すすぎを行うときに0.02%の次亜塩素酸ナトリウムを用います。(さらに、しっかり乾燥させることがとても重要です) 0.1%

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