12加熱による消毒:煮沸消毒 消毒というと、消毒薬…つい「お薬」のことばかり思い浮かびませんか?実は、熱を加える(温湯・熱湯、蒸気)のも、とても有効な方法です。いや、むしろ、効果が確実で、残留性などの心配もなく、経済性にも優れ、やけどにさえ気をつけていただければ、家庭での消毒の第一選択といえます。熱を加えることは、確かに多少手間がかかりますし、すべてのものが熱を加えられるわけではありませんが、何かこれを消毒したいと思われた時には、これに熱を加えられないかとちょっと考えてみてください。 また、微生物はおおむね水分が大好きです。水分のあるところでは元気よくどんどん増えてしまいます。逆に水分のないところでは、ジッとして、つまり数も人の体に影響をおよぼすほどには増えていきにくいものです。ですから、洗浄や消毒をおえたものはできるだけ清潔に乾燥させた状態で保つように工夫していただきたいと思います。 熱を加えるといっても、いったいどの程度の熱を加えればいいものでしょうか。実は、ほとんどの微生物は65℃かそれ以上の湿った熱にある程度の時間さらされると死んでしまうと言われています。以下の表に、試験管内のことではありますが、どの程度の温度で、どの程度の時間さらせば消毒できるかの目安をお示しします。 鍋に水をはり、沸騰させ、熱に耐える器具を10分間煮沸してください。 哺乳瓶の乳首であるとか匙などはガーゼに包んで鍋の中に入れるとよいでしょう。 さじ Ayliffe. G. A. et.al. Hospital-acquired infection, Principles and Prevention. 2nd ed. 1993 より 温 度 時 間 90℃ 1秒以上 80℃ 1分以上 70℃ 2分以上 65℃ 10分以上 註:これはあくまで試験管内での結果ですので、実際には消毒したい物品そのものが目的の温度に達するまでの時間が必要ですので、もう少し時間がかかります。 13消毒の方法 加熱による消毒
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