禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

SDGsと禁煙

JA廣島総合病院
渡 正伸

 グレタ・トゥーンベリさんをテレビで久しぶりに見た、4月下旬のニュースであった。新型コロナウイルスワクチンの供給が先進国に多く4人に1人、一方発展途上国には500人に1人しか届いておらず不平等と訴えている。少しでもその問題が解消するようにと、WHOに1,300万円を寄付したという内容であった。
 グレタさんといえば環境問題について世界的にメッセージを発信し、2019年には国連でも演説を行った有名な少女、女性である。そういえばこの2、3年グレタさんのニュース、姿を見なかった気がした。なぜだろう?と考えた。この間、世界で何があったのか?と、グルっと考えてみた。グレタさん、環境問題...、SDGsが頭に思い浮かんだ。SDGsの内容はまさに地球環境も含めて人類が解決すべき多くの目標を含んでいる。SDGsの機運が盛り上がってきた中、グレタさんの発言はいい意味で埋もれる形になっていたのである。
 ところで、SDGsのこと、その内容をご存じでしょうか。持続可能な開発目標、SDGsは、2016年から2030年の15年間で達成すべき"世界共通の目標"として、2015年9月に国連で開催された"持続可能な開発サミット"で国連に加盟している全193ヵ国によって採択されました。SDGsが絵空事ではなく現実味を帯びてきた背景にはSDGsに沿った企業活動でなければ銀行や大手のファンドが投資しないという動きがあることです。この数年で日本でも多くの人々が耳にする言葉になりました。SDGsには17の目標とそのそれぞれに付帯するターゲットと呼ばれる項目が合計169設定されています。われわれ医療者に関連深い目標を探すと"目標3のすべての人に健康と福祉を"が見つかります(他の目標も全部重要といえますが...)。さらに、この中にタバコに関連するターゲットがないか調べてみたところ、ありました。「すべての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。(SDGs-3.a)」というターゲットが記されています。いわゆる、世界たばこ規制枠組み条約のことをちゃんと遵守して行こうということが記載されています。この条約は日本でも2005年に発効した条約です。その遵守すべき要旨を以下に示します。

ア 職場等の公共の場所におけるたばこの煙にさらされることからの保護を定める効果的な措置をとる。(受動喫煙の防止)

イ たばこ製品の包装及びラベルについて,消費者に誤解を与えるおそれのある形容的表示等を用いることによりたばこ製品の販売を促進しないことを確保し,主要な表示面の30%以上を健康警告表示に充てる。

ウ たばこの広告,販売促進及び後援(スポンサーシップ)を禁止し又は制限する。

エ たばこ製品の不法な取引をなくするため,包装に最終仕向地を示す効果的な表示をさせる等の措置をとる。

オ 未成年者に対するたばこの販売を禁止するため効果的な措置をとる。

カ 条約の実施状況の検討及び条約の効果的な実施の促進に必要な決定等を行う締約国会議を設置する。締約国は,条約の実施について定期的な報告を締約国会議に提出する。

 コンビニ前の喫煙や職場等の公共の場所に設置された喫煙ブースの出入口付近では受動喫煙が生じており、上記アの違反事例と思われます。またタバコ、加熱式タバコなどの雑誌広告やテレビコマーシャルは堂々と放映されています。上記ウの違反事例です。
 SDGsを目指すのであればこのように受動喫煙防止やタバコの宣伝広告禁止を完璧に実施しなければいけません。SDGsを掲げる企業、銀行、団体、政治家などは、SDGsに喫煙に関するターゲットがあることをしっかり認識してほしいと思います。
 最後に私見を述べますが、SDGs-3が、"すべての人々に健康と福祉を"目指すのであれば、最大のタバコの被害者になっている喫煙者をどう救済するかという目標を掲げるべきです。既存の世界たばこ規制枠組み条約を単に踏襲したものではなく、タバコや喫煙そのものをなくすという目標があってほしいものです。ここは一つ、グレタさんからSDGsの改善すべき欠点として世界に発言してほしいところです。

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