禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

新型タバコとは何か(その2)

医療法人あずさ会 森整形外科
森 直樹

 平成29年12月25日号(第2357号)に引き続き、望月友美子先生による基調講演「新たなタバコ流行:新型タバコ(加熱式タバコ)の有害性と問題点」について紹介します。

新型タバコへの対抗策はあるのか?
 新戦略はニコチン産業に勝利をもたらすのでしょうか。煙が出ないから大丈夫とか、新デバイスを規制するエビデンスがないとか、紛らわしい状況に本質が隠蔽されていれば、国による規制の実行までには気の遠くなるような時間がかかりそうです。放っておけば、防げたはずのニコチン関連死がさらに増えることでしょう。行政は誰かの利益のために忖度するのですが、喫煙者の命を犠牲にした忖度はあってはなりません。医師が世論をリードして、ど真ん中の本質を突く方針を打ち出さなくてはいけません。新型タバコはドラッグであり、ニコチンに脳を支配されないためには最初から手を出さないことが重要です。望月先生は「医師がニコチンの供給デバイスであることをしっかり認識すれば間違いありません」と力説されましたが、シンポジウムでも今後の医師会の方向性について活発な議論が行われました。

女性はタバコの成長分野と目された
 ちなみに女性の喫煙率は男性より低いものの、徐々に増加しており、ニコチン産業は女性こそ成長分野だと認識しているようです。新型タバコの広報担当者も、女性らしい何かにイメージを重ねる印象操作をするかもしれません。ニコチンから人を守ろうとするメッセージはジェンダーフリーな一般的なメッセージしかないので、女性に着目するのは今後の課題です。

これからの医師の仕事
 最後に医師に対するメッセージとして、「医師が政治家になってほしい」と訴えられました。ノルウェー首相からWHO事務局長になったブルントラントは小児科医だったこと、全面禁煙を成し遂げたウルグアイ大統領も医師だったことを挙げられ、日本でも医師から総理大臣を目指して下さいと述べられて、講演は終了しました。日本の医師会は利権団体や圧力団体であるように報道されており(開業する前の自分もそう思ってましたけど)、総理大臣を目指す話は耳が痛い話でした。
 そもそも医師の本質は人の究極の財産を守ることです。まずは職業としての医師が世間から信頼されなければ医師の声は世間に届きません。そのためには医師が足並みを揃えて偏りのない事実を発信し続け、世論をリードすることが重要と思いました。
 ところでお気づきの方もおられると思いますが、iQOS というネーミングは興味がなければ読む気にならず、興味のある人同士では通じるようによく練られて作った名前です。若者だけの間で通じる若者言葉と同じ構図です。私を含む中高年医師がSNS用語などに疎いのは事実ですが、同様に iQOS の名前だと中高年医師にはなかなか認識されません。これもニコチン産業の隠蔽戦略の一つだと思いますが、この原稿ではあえてわれわれ世代に向けて"アイコス"と書かせていただきました。アイコスは iMac、iPod、iPhone などのイメージと重ねるだけでなく、店頭で品薄のため転売屋が現れるなど、他人の評価を気にする消費者の心をつかむ優れた情報操作も行っています。iQOS がクールだと思った若者よ、それはニコチン産業の印象操作であると知るが良いぞ(笑)。そして若い医師諸君、子ども達を頼みます。

戻る