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皮膚病-時に救急疾患を中心にして-

目次

5.薬疹

薬疹とは治療の目的で使用した薬剤によって異常な発疹を生じたものです。
その発疹の臨床型から別表のように分類されます。
診断に最も重要なのは、病歴です。薬剤を使用する原因となった、もともとの疾患からそのような皮疹を作ることはないのか、薬剤が原因だとしても、薬剤が複数の場合、それでは、いったいどの薬剤が原因なのか、薬剤使用のタイミングなどから慎重に検討する必要があります。
病歴とともに、皮内テスト、パッチテスト、内服誘発テスト、スキンウィンドウ法、薬剤によるリンパ球刺激試験などを駆使して、原因薬を追及していくわけ ですが、皮疹出現直後にはできる検査は非常に限られてきます。重症の薬疹の場合は、疑わしい薬剤はできるだけすべて中止し、治療に入ります。軽いもので は、薬剤中止だけで軽快しますが、かゆみのあるものや、皮疹の範囲の広いものでは、ステロイド軟膏の外用、抗ヒスタミン剤内服などをします。
しかし、薬疹の中には、死亡する可能性のある重症のものもあり、その場合は、もっと積極的な治療を早期から始める必要があります(別表参照)。重症のも のは、肝障害、腎障害その他全身症状をともなうことが多く、一般に高年齢ほど、また粘膜に症状のあるものほど注意が必要です。

薬疹のタイプ別分類
(1)多型紅斑型
(2)麻疹型(紅斑丘疹型)
(3)水疱型
(4)蕁麻疹型
(5)扁平苔癬型
(6)湿疹型
(7)固定薬疹
(8)光線過敏型
(9)ざ瘡型
重症型
(10)皮膚粘膜眼症候群型
(11)中毒性表皮壊死解離症(TEN型)
(12)紅皮症型

普通の薬疹でも肝腎障害、血液障害のあるものは、重症になりうるが、特に下の(10)~(12)は重症である。
こういったケースでは、原因薬の疑いがもたれる薬剤はできるだけすべて中止し、ステロイド軟膏塗布、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、ステロイドの全身 投与、肝臓、腎臓などの障害の有無のチェック、もし障害があれば、その改善をはかるべく輸液、栄養補給に留意する必要があります。
また、薬疹の治癒後は原因薬を確認し、患者さんがそれを確実に覚えておき、今後、同じ事をくりかえさないようにすることが大切です。

*皮膚粘膜眼症候群(スティーブンスージョンソン症候群):高熱と全身皮膚にわたる滲出性紅斑、角結膜炎、くちびる、口の中、陰部の粘膜のびらんがみられ、呼吸器症状、肝機能障害をともなうこともあります。
*中毒性表皮壊死解離症型薬疹(TEN 型):広範囲の皮膚の表皮全層が壊死におちいる最も重症な薬疹です。突然、痛みをともない、広範囲に紅斑が現れ、水疱ができ、表皮がめくれてゆき、一見正 常に見える皮膚をこすると水疱を生じるニコルスキー現象がみられます。粘膜が侵されることもあります。早期にステロイドの大量投与など積極的治療を行わな いと予後は非常に悪くなります。
*紅皮症型:全身の皮膚が赤くなり、落屑(皮膚の表面から皮がぽろぽろ落ちる状態)がひどくなり、非常に痒く、リンパ節がはれることも多くみられます。老人に多く、徐々に全身状態が悪くなり、死亡することもあります。

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