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皮膚病-時に救急疾患を中心にして-

目次

3.熱傷

熱傷(やけど)とは、高熱の気体、液体、固体に触れたために生じる皮膚、粘膜の障害をいいます。熱源としては、熱湯、火炎、炭火、湯タンポ、ストーブ、 熱くなった金属などがあげられます。わが国の熟傷の特徴は、10才以下の小児が非常に多いことで、熱傷患者の約半数は、小児です。とくに多いのが、寒い地 方の冬場に、歩き始めた頃の幼児がストーブの上のヤカン、ポットの熱湯を浴びるケースです。
従来、熱傷の分類には、第一度数傷=紅斑、第二度熱傷=水疱、第三度熟傷=壊死、第四度熱傷=炭化という分類が用いられていましたが、現在、治療の立場 から、深さを基準とした解剖学的な分類が用いられています(図参照)。熟傷の深さの違いによって、症状、経過は次のように変わってきます。
表皮熱傷(第一度):一番浅い熱傷で、日焼けや、さほど熱くない熱湯(例えば湯のみの中のお茶)などによるものです。炊熟感、ひりひり感を伴う紅斑と浮腫がおもな症状で瘢痕をつくらず、一週間以内に治ります。
真皮浅層熱傷(第二度)=鮮やかな赤みの強い紅斑、浮腫にくわえ、やがて水疱をつくり、びらんを生じ、疼痛、炊熱感が著しいものです。水疱の底は、ピン ク色でみずみずしく感じられます。高温のものに瞬間的にさらされた場合に生じるもので、3週間以内に乾燥し、色素沈着、色素脱失を残すことはあっても、瘢 痕を残さずに治ります。


熱傷深度と分類


真皮深層熱傷(第二度):発赤、白く濁った水疱、痛みの感覚の麻痺をきたし、やがて潰瘍をつくります。治るまでに一ケ月以上かかり、治ったあとに瘢痕を残します。
皮下熱傷(第三度)=皮下組織に達する深い熱傷です。皮膚の全層が凝固壊死に陥り、表面は黒褐色の焼けたかさぶたでおおわれます。1~2週間でまわりの 健康な部分との間に境界線ができかさぶたは落ち、肉芽組織が盛り上がり、ひどい瘢痕を作ります。関節の部では、拘縮、機能障害を残すことになります。ま た、数年~30年後にその瘢痕から、熱傷瘢痕癌が生じることがあります。
熱傷の深さは温度×熱の作用した時間で決まるので、たとえば、湯たんぽによる熱傷では温度は低いのですが、時間が長いので真皮深層~皮下熱傷のことが多 く、火炎などによるものは、高温でも瞬間的なものなので真皮浅層熱傷にとどまり得るといえます。また、受傷直後には、深度がはっきりしないので、日毎に深 度判定を行い、治療を見直すべきです。
深さともう一つ大切なのが、受傷面積の診断です。これは、治療、予後判定にきわめて重要です。成人の場合は、最も簡便と思われるのが、9の法則といわれるもので(図参照)小児の場合は頭部が大きいため、さらに補正が必要です。
次に重症度の判定は、熱傷の深さと範囲とに加え、年齢、部位、合併症、基礎疾患を考慮する必要があります。
軽度熱傷:(外来治療で可):5%以下の第二度熱傷、2%以下の第三度熱傷。
中等度熱傷(一般病院で入院加療を要す。):15~30%の第二度熱傷、顔、手、足、外陰部以外の10%以下の第三度熱傷。


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重症熱傷(総合病院で入院加療を要する):30%以上の第二度熱傷、10%以上あるいは顔、手、足、外陰部の第三度熱傷。呼吸器障害、骨折、大きな軟部 組織損傷を合併するもの。電撃症、深い化学熱傷。また、1才未満の乳児、60才以上では、青壮年に比べて重症とみなすべきです。顔面熱傷あるいは、密封さ れた場所での受傷では、気道熱傷を疑い、最重症として、呼吸管理のできる施設への転送が必要となります。また、ショックの危険性から考慮して、総受傷面積 で小児で7%以上、成人で10%以上では、輸液等の全身管理が必要となってきます。受傷直後には、一次性ショック、数時間~48時間では、大量の体液の喪 失があった場合には、様々な臓器の血行不全、酸素不足などにより、発熱、嘔吐、乏尿、精神不安、興奮などの二次性ショックが発生します。受傷後2~3日以 降では、創部の二次感染が増え、敗血症が死因の一つとなります。
治療:熱傷を負った直後はまず何よりも、患部を冷やすことが大切です。水道水などの流水による冷却と洗浄が重要です。30分以上、あるいは、痛みのとれ るまで冷却を続け、医師の診察を受けるようにしましょう。アロエその他、勝手な塗り薬など使わずに、まず冷却に努め、受診し、それぞれの状態に応じた適切 な処置を受けることが必要です。
局所治療は表皮熱傷(第一度)の場合は、冷却後放置でも可ですが、赤みや痛みがひどい場合には、ステロイド剤などを塗ります。真皮熱傷(第二度)以下で は、冷却後、消毒、異物があれば除去し、水疱が大きければ、水疱の内容を吸引します。かさぶた、うみを持ち不潔な場合は、抗生物質軟膏などを使用、必要に 応じ、壊死組織を切除しながら治癒を待ちます。皮下熱傷および、真皮熱傷でも長びき潰瘍になったものでは、早期の治癒が望めず、早めに手術(植皮術)を考 慮します。全身療法としては、受傷面積が広い場合には輸液、その他必要に応じて抗生物質の全身投与などを行います。


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