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知っておきたい予防できる海外での感染症

目次

狂犬病

現在日本国内で狂犬病に感染することはありませんが、海外で犬に咬まれた日本人が、帰国後に狂犬病を発症して亡くなる事例が過去にありました。狂犬病はウイルスによる感染症で、脳炎を起こします。一旦発病すると、致死率ほぼ100%という非常に怖い感染症です。

図2は2013年に厚生労働省が発表した狂犬病の危険性がある国の一覧です。狂犬病が問題ない国は、日本のほかオーストラリア、ニュージーランド、英国、ノルウェー、スウェーデンとごくわずかで、世界中の国で狂犬病の危険性があることになります。最も深刻な国はインドで、年間2万人が発症しています。すなわち2万人の方が亡くなっていることを意味します。中国、パキスタン、バングラディシュでは年間2千人以上、ミャンマー、フィリピンも多数の患者が報告されています。

図2

図2 狂犬病発症リスクのある国

(厚生労働省2013年発表資料より引用)

「狂犬病」と呼ばれますが、ウイルスを持っている動物は犬にとどまらず、キツネ、アライグマ、コウモリなど多くの哺乳動物に注意が必要です。市街地への渡航のみで、動物に接触する機会がない場合を除き、ワクチンの接種を考える必要があります。インド、パキスタン、バングラディシュ、ミャンマーのように、多数の感染が報告されている国に渡航される場合は、市街地のみの渡航であってもワクチン接種をお勧めします。

狂犬病はワクチンで予防可能です。合計3回接種します。初回、1週間後、4週間後と全部で約1カ月かかりますので、渡航が決まったらできるだけ早く接種を開始して下さい。時間がない場合でも1回接種しておくことをお勧めします。万が一、ワクチンを接種せずに渡航中に動物に咬まれた際は、直ちにワクチンを接種すれば発症を予防することができます。ただし国によってはワクチン接種可能な医療機関を探すのが難しい場合がありますので、その場合は大使館にご相談下さい。

狂犬病ワクチンも、A型肝炎ワクチンと同じように、国産ワクチンと輸入ワクチンの2種類があります。現在日本では、国産ワクチンの品不足が問題になっています。ワクチンの生産量が限られているためです。国産ワクチンを接種できる医療機関は非常に少なく、事前予約していたのに入荷できず接種できないという場合もあります。そこで渡航外来を開設している医療機関では、輸入ワクチンを常備しています。世界中で使用されているワクチンで、安全性に問題はありません。ワクチン接種可能な医療機関は、前述の厚労省検疫所(FORTH)や日本渡航医学会のホームページで御確認ください。


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