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知っておきたい薬物の乱用・依存に関する基礎知識

目次

解説 V.薬物乱用予備軍を育む現代社会~青少年を取り巻く生活環境の変化~

 現在、わが国では覚せい剤や大麻、違法ドラッグの乱用が、厳しい取締りや処罰の強化に対しても、抵抗性を示し長期化する傾向がうかがわれます。その理由としては、これらの薬物の入手可能性が高いことも一因ですが、やはり「都市化現象」など、<現代社会の持つ病理性>が大きな背景になっていると思われます。
 わが国においては、1960年代の高度経済成長の影響による、生活水準の向上、都市化現象など、社会の構造的変化が指摘されております。特に、次代を担う青少年の成育・生活環境においては、図表6に示すように大きな変化がもたらされているのです。これらの変化が青少年に≪生きづらさ≫をもたらしていると思われます。

青少年を取り巻く生活環境の変化

 これまでの二世代にわたる≪暖衣飽食の時代≫の後に襲ってきた不景気によって、わが国は社会構造の大転換が進行してきました。国内総生産が伸び悩み、1991年バブルの崩壊後、産業構造の著しい変化を受けて、驚異的に低かったわが国の完全失業率が1995年以後3.0%を超え、急増してまいります。企業は生き残りを賭けて安価な労働力を求めて海外に生産拠点を移しております。そのため、男性であっても、正規雇用が困難な時代に突入し、非正規雇用率が40%近くなろうとしております。従来、若者に安心感を与えていた「仕事」「家庭」が入手の困難な状況にあるのです。未曾有の超高齢化社会の進展と共に、若者にとっての≪生きづらさ≫は青少年を薬物の乱用や非行へと結び付ける温床になっていると思われます。
 オーストリアの精神病理学者であるフォン・ゲープザッテル先生は『薬物の乱用・依存は「からだの痛み」、「こころの痛み」に堪えず、生きている実感を得るために示す自己確認・自己治療の努力がその契機となっている。』と述べておりますが、非常に当を得た表現と思われます。


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