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知っておきたい薬物の乱用・依存に関する基礎知識

目次

解説 II.わが国における最近の薬物乱用の概況

 図表2は薬物事犯検挙人員の年次別推移を示した図です。上段の「覚せい剤取締法」と「毒物及び劇物取締法」の検挙者が、下段の「麻薬及び向精神薬取締法」・「あへん法」・「大麻取締法」の検挙者数に比較して10倍多いので、上下2つのグラフで表しております。

薬物事犯検挙人員の年次別推移

 ≪第一次覚せい剤乱用期≫の昭和291954)年には「覚せい剤取締法」によって約55千人が検挙されていますが、一人が検挙されると、その周辺に検挙されていない10人近い乱用仲間がいると考えてよいと思われます。
 ここで、わが国における最近の薬物乱用状況について見てみましょう。
 従来、わが国においては、大麻は覚せい剤と並んでハードドラッグの位置にあったと思われます。上段のピンク色の矩形で表示してある「毒物および劇物取締法」の検挙者数がみるみる減少していって、2004年から下段のグラフにも表示してありますが、平成182006)年になると、大麻事犯検挙者数が毒劇法事犯検挙者数を初めて上回ったのです。従って2006年は大麻がタバコ・アルコールに次いで≪第3の入門薬≫になる契機となった年と思われます。というのは、大麻はシンナー・覚せい剤と異なって、その依存性・精神毒性が比較的弱い分、大麻乱用者の中には、学業・仕事についている者も多く、大麻の信奉者として、周囲の人間に大麻使用を勧めていくことにより、今後わが国でも大麻優位の≪欧米型の薬物乱用状況≫が浸透していくものと思われていたからです。
 ところが一昨年から、過去に大麻を中心とするLSD・コカイン・MDMAなど多剤乱用傾向のある人たちが主体ですが、所持・使用しても逮捕されない≪いわゆる脱法ドラッグ(違法ドラッグ)≫の大流行が見られたのです。なお、しばらくは違法ドラッグの流行は後を引くと思われますが、筆者は平成24年末に実施された≪包括指定による規制の強化≫が浸透していって、将来的にはやはり、大麻乱用が復活していくだろうと予想しております。現在は、別にもう一つ、医療機関で処方される睡眠薬・安定剤などの≪向精神薬の乱用・依存≫が大きな問題になると考えられます。


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