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知っておきたい薬物の乱用・依存に関する基礎知識

目次

はじめに

 わが国は1990年中頃から景気低迷の影響によって、現在まで大きな社会の構造変革を伴っております。仕事の分野では、男性であっても就職できない、非正規雇用にしか就けない、正社員のリストラなど、自分を必要とされず大切にされていない状況です。また、家族がそもそも形成し難く、今まで若者に安心を供給してきた「定職」、「家族」が不安定化し、若者が不安にさらされる度合いが大きい現状となっております。
 若者の感じる「生きづらさ」は喫煙・飲酒・薬物乱用の重大な温床となります。大学入学・就職などで大都会に出る若者は、都市の病理現象である薬物乱用・依存の問題にさらされる機会が増大します。薬物の乱用にしても、何も最初から組織暴力団の人間や不正滞在する外国人と接触するのではなく、彼らが普段馴染んでいる友達や親戚の年長者から、たまたま使用場面に遭遇して誘われるのがほとんどであります。また、インターネットを通じて、非常に簡単にいわゆる脱法ドラッグ(違法ドラッグ)などの勧誘情報が無防備な若者に届けられています。
 従って、若者を薬物乱用に手を出させない第一次予防のレベルにおいては、親や教師の意向が比較的浸透している小・中・高校時代に、≪薬物乱用の危険性≫に関する啓発・予防の教育がきちんと展開され、児童・生徒に十分理解されていることが望まれます。
 薬物の乱用は確実に使用者自身の手を通りますので、インフルエンザなどの流行病よりは予防は確実です。誘われたときに「ハイ」といって手を出すか、「ノー」といって断るかで、その後の人生は大きく変わってくるのです。

 この度、広島県医師会からの要望で、「薬物乱用問題に関する基礎知識」の執筆の依頼がありました。
 長年、精神科医師として薬物乱用・依存の問題に取組んできた筆者としては、薬物乱用が若者にもたらす健康被害について、できるだけ図表を多く使用した分かりやすいものとするように努力しました。特に、依存性薬物の乱用による身体的な被害は、乱用すれば必ず引き起こされるというわけではないのですが、引き起こされたら取り返しのつかない問題が多いものです。
 少し難しい表現もあると思いますが、後半の解説の部を参考にしながら、教師・父兄と児童・生徒が共に学べるように、配慮した編集になっております。
 最後になりましたが、苦しみながらも、自身の映像を提供していただいた協力者の皆様に心から感謝を申し上げます。

平成25年9月
医療法人せのがわKONUMA記念広島薬物依存研究所
所長 小沼 杏坪

 

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