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知っておきたい薬物の乱用・依存に関する基礎知識

目次

II.薬物乱用によって奪われる若者の「自由」・「尊厳」・「信頼」そして「未来」

薬物の乱用によって奪われる若者の「自由」と「尊厳」と「信頼」そして「未来」

 医療法人せのがわの所在する広島市安芸区には五つの中学校があります。長年にわたって薬物依存者を診療してきた立場から、私は安芸区保健センターからの依頼で、毎年一校ずつ薬物乱用防止教室の講師として、最初にこの図を提示し、実例を交えながら、直接中学生に語りかけてきました。
 薬物の乱用は多くの場合、若者の問題です。首都圏の進学校の男女高校生を対象にした意識調査の結果では、11、12%はたとえ覚せい剤でも「一度位ならやってみたい」と思っているのです。ところが、一度、自由意志に基づく選択として、依存を引き起こす作用をもつこれらの≪依存性薬物の乱用≫を経験すると、比較的容易に≪薬物依存症≫の状態になって≪薬物摂取中心の生活≫を送ることになるのです。
 さらにわが国で流行しているシンナー・大麻・覚せい剤は比較的高率に≪薬物精神病≫を引き起こして、幻覚・妄想等の病的体験に支配された≪病的人格≫となって、まともな判断ができなくなります。
 <依存>というのは、依存的行動の学習ですから、自転車の運転や泳ぎのように一度覚えたら一生忘れないのと同様に、忘れ去ることはない一生ものなのです。従って、乱用・依存による身体障害・精神障害、その他種々の社会的問題を経験しても、止められないのがこれらの依存性薬物であり、依存者の平均寿命は短いです。中には一生薬物にとらわれた人生を送るヒトだって居るので、私はそういう人のことを≪薬物乱用人生≫と呼んでおります。
 「要するに、薬物の乱用によって若い皆さんの「自由」と、人間らしい「尊厳」、家族・仲間からの「信頼」、そして若者の本来持っている輝かしい「未来」までもが、奪われることにつながるのです。薬物乱用は必ず自分の手を通りますので、『ノー』といって断るか、『イエス』といって手を出すかで、将来が決まってしまうのですよ。」と実例を示しながら語りかけるのです。


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