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知っておきたいアナフィラキシーの正しい知識

目次

9 アナフィラキシーの一例

 実際のアナフィラキシーの例を示します。
 ある中年の男性が、山中でハチに刺された後にめまいを自覚し、119番通報しました。救急隊が現場に到着した時には、強い呼びかけでどうにか目を開ける程度の反応しかなく、血圧が低下しており、顔や胸、手足に広範なじんま疹、紅潮が認められました。ショック状態と判断され、酸素を投与されながら搬送されました。病院の救急外来に到着した時、血圧の低い状態は続いていましたがなんとか会話ができ、車に乗る前にハチに頭を刺され今回で2回目ということが分かりました。2回目のハチ刺されで、じんま疹と血圧の低下を認めたことから、ハチ毒によるアナフィラキシーと診断されました。直ちにアドレナリンの筋肉注射が施行され、点滴治療とステロイド、抗ヒスタミン薬の投与が行われました。初期治療の反応性は良好で、血圧は上昇し皮膚症状も消失しました。経過観察を目的に入院し、再度症状が出現することがないことを確認後、入院翌日に退院となりました。今回、重篤なアナフィラキシーを発症しており、再度ハチ刺された場合はアナフィラキシーが重症となり得るため、エピペン®0.3mgが処方されました。

写真2. 救急外来に搬送された時の状態
救急外来に搬送された時の状態

参考文献

1)Tole JW, Lieberman P: Biphasic anaphylaxis: Review of incidence, clinical predictors, and observation recommendations. Immunol. Allergy Clin. North Am. 27: 309-326, 2010.

2)森田栄伸: 臨床現場からとらえた感作と発症 食物依存性運動誘発アナフィラキシーの発症と抗原感作. アレルギー・免疫 19: 70-77, 2012.

3)秋夏優: 虫刺症に伴うアナフィラキシーショックに対する処置. 皮膚病診療 33 Suppl: 150-153, 2011.

4)山内博美: 都市のスズメバチ, 中日出版社, 名古屋市, 2009, pp 72-75.

5)Sampson HA, Munoz-Furlong A, Campbell RL et al: Second symposium on the definition and management of anaphylaxis: summary report-Second National Institute of Allergy and Infectious Disease/Food Allergy and Anaphylaxis Network symposium. J. Allergy Clin. Immunol. 117: 391-397, 2006.


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