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知っておきたいアナフィラキシーの正しい知識

目次

4 予防

 アナフィラキシーには予防が第一です。食べ物によるアナフィラキシーの予防には、原因となるアレルゲンの摂取を回避すること(アレルゲンを除去した食べ物の摂取)が重要です。そのためには原因となる食品を確認しておく必要があります。
 まず、食べ物との関連については詳細な情報収集が原因アレルゲンを推定する鍵となります。次に、皮膚テスト(プリックテスト、スクラッチテスト、パッチテストなど)や血液検査(特異的IgE抗体、好塩基球ヒスタミン遊離試験)によって原因と推定される食べ物に対するIgE抗体の証明を行います。そして、アレルゲンと推定される食べ物の経口負荷試験や除去試験によってアレルゲンが確定されます。一方で、食べ物アレルギーを発症しやすいのは成長期の乳幼児であり、栄養面を考慮した必要最小限の食品除去が求められます。加熱してアレルゲンの作用を弱めたり(卵など)、アレルゲンの成分を分解もしくは除去した低アレルゲン食品(牛乳アレルゲン除去調整粉乳など)を利用します。また、代替となる食品を摂取することにより栄養のバランスをとることも大事です。なお、成長に伴う消化管機能の発達等により、卵や乳製品、小麦等に対するアレルギー体質を克服(耐性化)できる可能性があり、このような場合には専門医の指導に基づいてアレルゲン除去食の解除を検討します。ただし、ピーナッツやそば、甲殻類、魚類等は耐性化しにくいことが知られています。

予防

 なお、注意すべき点としては、アレルギー物質の食品表示が特定原材料の7品目(表示の義務化)とそれに準ずる18品目(表示の推奨)に限られているということです。また、対象範囲は、容器包装された加工食品及び添加物であり、店頭で量り売りの加工食品など容器包装されていない商品や、容器包装の面積が30センチ平方メートル以下のものについては表示義務がありません。さらに、特定原材料等の総タンパク量が加工食品1gあるいは1mlあたり数μgに満たない場合は表示されません。つまり、これらの材料の表示は一定濃度以下では記載されないため、注意が必要です。
 食物依存性運動誘発アナフィラキシーの対策としては、原因となる食べ物を避けることに加えて、食後3時間以内の運動を制限することがあげられます。
 ハチによる虫さされを防ぐためにはまずハチの巣に近づかないことが原則です。スズメバチの巣には見張りのハチが周囲を警戒しており、近づいた場合には威嚇のために相手の周りを飛び回り、"ブンブン"という大きな羽音の他に、顎を噛み合わせて"カチカチ"という威嚇音を出します。さらに巣に近づいたり、急に向きを変えるなどして体を動かすと一斉に攻撃を始めます。もしスズメバチ類の巣に遭遇し、警戒のハチが近寄ってきた場合には、姿勢を低くしてハチが飛び去るのを待ち、ゆっくり巣から離れます。大声で騒いだり、手で払ったりする行動は危険です。一旦ハチの攻撃を受けると攻撃に参加するハチは増えるので一刻も早く現場から離れます。また、攻撃を受けにくい色彩、身なりも大事です。ハチは黒色に対して攻撃をするため、黒い着衣やひらひらするもの、黒いサングラスなどは攻撃を受けやすく、カメラや長靴など黒くて動くものも危険です。ハチに刺されないようにするためには、長袖で白っぽい服装をし、頭部は攻撃を受けやすいため帽子をかぶり、軍手などをはめて露出部分を少なくします。さらに、匂いもハチを刺激するため、ヘアスプレーや香水などの化粧品はつけないようにします。ハチが室内や車内に入ってきた場合は、窓を開けて出て行くのを待ちます。ハチは明るい方へ向かう性質があり自然に外に出て行くため、決して叩いたり追いかけ回さず冷静に対処します4)
 ハチに対するアレルギーの検査としては、血液中のハチ毒に対する特異的IgE抗体の検査やハチ毒を用いた皮膚テスト(プリックテストなど)があります。ハチ毒に対する抗体の量は、例えその値が低い場合であっても再度刺された場合にアナフィラキシーを起こすことがあります。また、ハチアレルギーがあり、林業関係者などハチ刺症が避けられない場合は、ハチ毒そのものを用いた減感作療法も考慮されます。アレルゲンに対して抗体が作られる現象を感作と呼び、アレルゲンを少量ずつ皮膚に投与し、アレルゲンに対する過敏な状態を徐々に「慣らす」治療を減感作療法といいます。一般に花粉症などのアレルギーに対して行われていますが、ハチ毒を用いた減感作療法も有効性が認知されています。しかし、日本では健康保険が適応されないこと、長期間の治療を要すること、治療用のハチ毒を海外から輸入しなければならないこと、実施できる施設が限られていることなどの問題点があります3)
 薬物に対するアナフィラキシーに対しては、原因となる薬物を避け、交叉反応のない代替薬を使用する必要があります。薬剤により皮疹などの異常がみられた場合には薬剤アレルギーを疑い医療機関への受診が勧められます。また、薬剤アレルギーがある場合には、医療機関を受診する際や薬局で市販薬を購入する際に、アレルギーの内容を確実に伝える必要があります。もし、代替薬の使用ができない場合には、医師の指示の上で減感作療法が有効な場合があります。薬剤の減感作状態は薬剤を使用している間は維持されますが、一旦中止すると薬剤に対する感受性が戻るため、中止後に再び同じ薬剤を使用する場合には再度減感作療法を実施しなければなりません。

予防

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