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知っておきたい“腹痛(おなかが痛い)”のポイント

目次

III.その他の疾患と腹痛

(1)心・血管・呼吸器系疾患

<急性心筋梗塞>

急性心筋梗塞は、典型的には前胸部や左胸部に強い絞扼感(締め付けられる)や圧迫感が30分以上持続し、肩、腕、背部などの痛みを訴えます。しか し、虚血性心疾患のリスク・ファクター(高血圧症、糖尿病、高脂血症、喫煙)のある中高齢者では、上腹部の痛みでも虚血性心疾患(心筋梗塞)の可能性を考 えなければなりません。心筋梗塞がおこって数時間は、症状と心電図の異常しか認めないことがあります。

<腹部大動脈瘤破裂>

腹腔内にある腹部大動脈が5cm以上と大きくなり、動脈瘤が破裂したり、破裂しかけたりした時に、がまんできないような腹痛、側腹部痛、腰痛が突然おこります。動脈瘤は破裂するまで無症状です。腹部に拍動している大きな動脈瘤を触れることがあります。

<大動脈解離>

突然の引き裂かれるような激烈な胸痛で発症し、背部に放散することも多いです。痛みが移動して腹痛・腰痛を訴えることがあります。大動脈解離の危険因子としては、高齢、男性、高血圧、動脈硬化、大動脈二尖弁、結合織疾患などがあります。

<肺炎・胸膜炎>

腹部側に近い肺の肺炎や胸膜炎では、上腹部痛や心窩部痛を訴えることがあります。痛みは深呼吸で増悪し、咳、痰、息切れ、発熱などを伴います。胸部のレントゲン検査で肺炎像や胸水を認めます。

(2)泌尿器系疾患

<精巣捻転>

精巣(睾丸)捻転は強い運動中や精巣の外傷後に突然の激しい痛みを呈します。小児から20歳代までの若い男性に多いです。捻転した睾丸は腫脹し、圧痛が著明です。捻転後6時間以上経過すると、睾丸を切除する必要がでてくるので、早く医療機関を受診してください。

<急性腎盂腎炎>

腎臓に細菌感染が生じている急性腎盂腎炎でも「おなかが痛い」ことがあります。吐き気やおう吐などを伴い、発熱がでてくるまでは胃腸疾患と間違われやすいです。38℃以上の高熱、背部痛、吐き気、嘔吐は急性腎盂腎炎を疑わせます。

<尿管結石>

中年男性に多く、典型的には血尿を伴い背部痛、側腹部痛が突然出現してのたうちまわるような痛みを訴えます。背中に手を当てて腰を伸ばして歩いてきます。結石が5mm以下であれば自然排石が期待できます。

(3)内分泌系疾患

<糖尿病性ケトアシドーシス>

感染症などの誘因で急激に血糖が上昇したときに(血糖値400mg/dl以上)、高血糖によって口が渇く、多飲(多量の水分摂取)、多尿(頻回の排尿と尿量増加)などの症状とともに、腹痛、食欲不振などをおこすことがあり、急性胃腸炎などと間違われることがあります。


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