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家庭で知っておきたい脳卒中の救急

目次

脳卒中の治療


脳梗塞の診断と治療は一刻も早く

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脳が正常に働くためには十分な血液の流れが必要ですので、脳梗塞に対してはできるだけ早く治療を開始して血液の流れを良くすることが重要です。ですから病院では、1分でも早く、検査と治療を始めることを心がけています。

脳梗塞の診断では、頭部のCTやMRIの撮影、胸部のX線撮影、血液検査などの臨床検査、心電図、内科的や神経学的な診察を急いで行います。

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脳卒中急性期の初期診断と診断に必要な検査

第1段階 脳卒中の基本病型(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)を診断します。

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第1段階は、脳卒中以外の疾患を鑑別するとともに、脳卒中であれば3つの基本病型(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)のどれに該当するかを診断す る段階です。まずポイントをしぼった病歴の聴取と診察を行い、脳卒中の疑いが濃厚であれば、直ちに頭部CTの撮影と一般臨床検査などを順次速やかに実施し ます。

第2段階(※脳梗塞の場合) 脳梗塞が、どの臨床病型(心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、その他)に属しているか診断をします。

第2段階は、脳梗塞の場合、心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、その他梗塞のいずれであるかの臨床病型診断を行います。

この段階では、第1段階の検査のほかに、頭部MRI検査、脳血管の検査(血管超音波検査、MRアンギオグラフィー、CTアンギオグラフィー、脳血管造影)、心臓の検査(心臓超音波検査、ホルター心電図)、血液凝固・血小板機能検査などの精密検査を必要に応じて行います。

脳卒中の最終的な治療方針はこの段階の診断に基づいて決定されますので、第2段階も可能な限り迅速に進める必要があります。


脳梗塞の治療方法

脳梗塞(特に急性期)の治療について

脳梗塞の急性期の治療は、薬による内科的な治療が中心になります。現在日本では、脳梗塞(急性期)の治療においては、「血液の固まりを溶かす薬」、「脳を保護する薬」、「脳のむくみ(腫れ)を抑える薬」、「血液の固まりを抑える薬」による治療などが行われています。

脳梗塞急性期における薬による治療は、神経症状(手足の麻痺やしびれ、うまくしゃべれない、意識もうろう)を改善することにより、日常生活における動作の障害を最小限に止めることが目的です。


脳梗塞は時間とともに拡大して症状が悪化することもあります

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脳梗塞超急性期における血栓溶解薬による治療

脳梗塞急性期で発症3時間以内に投与することにより、神経症状(手足の麻痺やしびれ、うまく しゃべれない、意識もうろう)を改善させることができる血栓溶解薬アルテプラーゼ(t-PA、ティーピーエー)が、脳卒中専門医を有し24時間体制で受け 入れ可能な病院に準備されています。日常生活における動作の障害をすこしでも改善することができる、日本や米国の脳卒中治療ガイドラインではグレードAと 推奨される治療とされています。

このt-PA治療はだれでもどこでもいつでもできるわけではありません。倒れているのが発見された時間ではなく、倒れた時間または元気であった時 間がはっきり分かっており、救急車で病院に到着、医師の問診・診察、血液検査やCT検査を終えた時点で、発症3時間以内である場合に投与が考慮されます。 血栓を溶かして麻痺を治しますが、逆に脳梗塞部位に大出血を起こすことが多くなります。医師に問診・診察・血液・CT検査から得られる投与基準項目を厳格 に評価して専門医が投与決定します。そのため、発症2時間以内に病院に到着していないといけません。まさに時は脳なり(Time is Brain)です。家族の方にお願いしたいのは、何時何分に倒れたか、麻痺が出たか是非わかる範囲で教えてほしいのです。

Brain Attack 時代 脳梗塞の治療
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読売新聞に載っていたt-PA治療の記事より
社会復帰率と全死亡率
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速報:アルテプラーゼ(t-PA)注使用成績調査の中間集計
平成19年3月


入院初期の急性期リハビリテーション

急性期 救急医療機関

入院後1週間くらいまでの時期に開始します。寝たままで行います。

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維持期 リハビリ専門病院

入院後、1週間~3週間くらいまでの時期に開始します。

前期[ベッドから起きて座れるようになるまでの訓練]

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後期[歩行訓練/身の回りの動作訓練]

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通常、回復期リハビリテーションが終了すれば退院となります。


脳梗塞の再発を予防するために(入院した後の日常生活)

 


 

日常生活で危険因子を減らす心掛けを

脳梗塞を引きおこす危険因子としては「高血圧」「糖尿病」「高脂血症」「喫煙」「過度の飲 酒」「肥満」「ストレス」などがあります。退院した後も、危険因子に対する治療を行うなど、日常生活でこれらを減らすことをできる限り心掛けてください。 これまでの生活習慣を見直すことは、脳梗塞の再発を予防する上でとても大切なことです。かかりつけ医に相談ください。

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血栓をできにくくする薬を医師の指示どおりに服用してください

血栓をできにくくする薬は、“ねばねば”した血液を“さらさら”にする効果がありますので、これらを正しく服用することは、脳梗塞の再発を予防する上でもっとも大切です。勝手に飲むのをやめてはいけません。抜歯や小手術では、薬を休むことなく行います。

脳血栓症の治療薬(アスピリン、チクロピジン、クロピドグレル、シロスタゾール)抗血小板薬(動脈内に血小板の固まりによる血栓ができるのを抑える薬)

脳塞栓症の治療薬(ワルファリン) 抗凝固薬(心臓や静脈内に血液の固まりができるのを抑える薬)

服用中の注意

●勝手にやめないこと

●抜歯や検査だけではやめてはいけません。医師に相談を。

●まとめて服用したりしないこと

●他の薬(風邪ぐすりや抗生物質)を服用するときは医師に相談を

 


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