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家庭で知っておきたい 皮 膚 の 病 気

目次

5.皮膚感染症

5-1細菌性皮膚感染症


1.とびひ(伝染性膿痂疹)
1) 分類、症状

 
 
好発する季節
対象
症状
原因菌
水疱型 乳幼児 水ぶくれ>びらん>
白~黄色いかさぶた
黄色ブドウ球菌
痂皮型 季節に関係なし 誰でも 赤み>膿>
黄褐色のかさぶた
溶血連鎖球菌


2) 治療

シャワーを浴び、石けんで体をよく洗います。その後、抗生物質の外用を行います。ひどい場合には内服も行われます。

3) 予防、日常生活上の注意
・清潔を保つため、毎日入浴しましょう。
・虫さされをひっかいて生じることが多いので、普段から爪を短く切っておくことも大切です。
・鼻の中にはとびひの原因となる黄色ブドウ球菌がたくさんいるので、鼻をさわるのはやめましょう。
・ほかのこどもにうつすこともありますので、集団生活をさせる場合には、患部をガーゼで覆い、こどもが直接触らないようにしましょう。範囲が広い場合には、学校などを休ませた方がよい場合があります。
・プールは禁止です。

2.蜂窩織炎
真皮から皮下脂肪組織の細菌感染症です。

1)原因
主としてブドウ球菌によります。ときに化膿連鎖球菌、大腸菌、嫌気性菌で生じる場合もあります。菌は毛や汗腺、爪の周囲、小外傷から侵入します。

2)症状
四肢に、境界の不明瞭な、痛み、熱感を伴う局所の発赤、腫れが生じ急速に拡大します。発熱や悪寒、頭痛などの全身症状を伴うこともあります(図8)。
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図8

3)治療
抗生物質を使用します。軽症の場合は内服でも効果がありますが、ひどくなると点滴加療が必要となります。

3.丹毒
真皮を中心とする細菌感染症です。高齢者や免疫力の低下した人に発症しやすいと言われていますが、手術やむくみなども発症のきっかけとなります。

1)原因
主としてA群β溶血性連鎖球菌によるものが多いとされています。一般に、菌は傷がある皮膚の表面から真皮に侵入します。

2)症状
突然、悪寒、発熱を伴って、主として顔、四肢(特に下腿)に、急速に拡大する、境界明瞭な発 赤が特徴です(図9)。皮膚の表面は少しテカったようになります(緊張して光沢を有する)。圧痛、局所の熱感がひどく、リンパ節が腫れることもあります。 ときに水ぶくれが生じることもありますし、重症では皮膚の壊死が見られることもあります。
また、まれに繰り返し生じることもあります(習慣性丹毒)。
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図9

3)治療
抗生物質の投与を行います。適切な抗生物質をもちいると、数日で発熱は治まり、1週間前後で表面の皮がむけて治癒します。習慣性の場合には、1ヶ月くらい抗生剤の内服を続けることがあります。

4.SSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群 Staphylococcal Scalded Skin Syndrome)
黄色ブドウ球菌が付着した病巣(咽頭、鼻腔など)から、それらが作り出す、皮膚剥脱毒素が血流を介して全身の皮膚に達し、全身の赤みや水ぶくれ、表皮の剥脱をおこす疾患です。

1) 症状
新生児では高熱、乳幼児では微熱とともに、ロ、鼻、目の周りが赤くなり、めやにや水ぶくれ、 かさぶたができます。次いで、首、わき、太ももの付け根が発赤し、次第に全身の皮膚がやけどのようにシート状にむけてきてびらんとなります(図10)。さ わると大変痛く、一見正常に見える皮膚をこするとむけることがあります(ニコルスキー現象)。
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図10

2) 治療
適切な抗生物質の投与により、1週間程度で赤みと痛みは減り、皮膚は乾燥し膜様にむけて軽快します。
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5-2ウイルス性皮膚感染症


1.単純疱疹(単純ヘルペス)
1) 原因

単純癌疹ウイルスによります。50歳以上のヒトではほとんどのヒトが知らない間に感染してい ると言われています(不顕性感染)。ウイルスは感染後、神経細胞の中に潜んでしまいます。さまざまな刺激が加わったり免疫力が低下したりすると、隠れてい たウイルスが増殖を開始し、神経線維を通って皮膚、あるいは粘膜の細胞の中に到達し、そこでさらに増殖して水ぶくれを作ります。

2) 分類・症状
 
 
初感染/再感染
誘因
症状
経過
口唇ヘルパス
(いわゆる
熱の華、
カゼの華)
ほとんど再感染 発熱、日光、
ストレス、疲労
違和感、かゆみの後、くちびるの周囲に小さい水ぶくれが集まって出現。 水ぶくれ→びらん→かさぶた→治癒
(5~14日)
カポジ水痘様発疹症
(図11)
初感染が多い アトピー性皮膚炎、
脂漏性皮膚炎
など持つヒトに多い
突然、皮膚炎上に中央にへこみを持つ小さい水ぶくれが集まって出現。 発熱、リンパ節の腫れを伴うこと多い。 水ぶくれ→膿→かさぶた(3~4日)、このサイクルが体のあちこちで見られる
性器ヘルパス 初感染 性交渉、
乳幼児の場合は母親や医療従事者の手を介して
陰部が腫れ、小さい水ぶくれが多発。
発熱、リンパ節の腫れ、膀胱炎、尿道炎にて排尿時の痛み。
びらんは痛く、歩行因難が生じることも。
水ぶくれ→びらん→
くっついて不規則な形に→
かさぶた→治癒、周囲では膿もみられる
(2~6週間)
再感染 性交、生理、
過労
発症の1、2日前よリ神経痛様の痛み、
陰部に小さい水ぶくれが集まって出現。
症状軽い
水ぶくれ→びらん→
かさぶた→治癒
(4~14日)

3) 治療
軽症の場合は痛み止め(消炎鎮痛薬)の外用または抗ウイルス薬の外用を行います。初感染や中等症、およびアトピー性皮膚炎患者の場合は、抗ウイルス薬の内服を行います。
カポジ水痘様発疹症および重症例では抗ウイルス薬の点滴を行います。
再発を繰り返している場合には、あらかじめ飲み薬をもらっておき、前駆症状が出た場合にすぐ飲む方法が行われることがあります。ただし、次の再発を予防することはできません。

4) 日常生活上の注意
精神的、肉体的ストレスにより体力、抵抗力が落ちているときに再発しやすいので、バランスの 良い食事をとり、十分に休養することが大切です。また、強い紫外線を浴びた後にも再発しやすいので(特に口唇ヘルペス)、海水浴などにいかれる場合は日焼 け止めをしっかり塗る、日かげをつくりそこにいるなどの注意をして下さい。
症状が出ているときはウイルスの量も多く、また、感染力が非常に強いのでヒトとの接触には注意が必要です。とくに相手が、1新生児、2まだヘルペスにか かったことのないヒト、3アトピー性皮膚炎のヒト、4病気などで免疫力が低下しているヒト、などでは抵抗力が弱まっており、発症した場合は重症化しやすい と言われています。また、箸やスプーン、タオルからも感染しますので、共用は避けて下さい。
その後の処理としては、ウイルスは熱や紫外線、乾燥に弱いので、食器は洗剤でしっかり洗い、タオルなどはほかの洗濯物と一緒に洗濯し、日光に当ててしっかり乾燥させれば十分です。

2.帯状疱疹
1) 原因

水痘・帯状疱疹ウイルスによります。多くのヒトは子供の頃に水ぼうそう(水痘)になります が、それが治った後もウイルスは神経細胞を取り巻く細胞(サテライト細胞)の中に潜んでいます。放射線、外傷、疲労、老化、免疫抑制剤、がんなどにより体 の抵抗力が落ちると、潜んでいたウイルスが活発になり、周囲の複数の神経細胞を巻き込み、それぞれの神経細胞を通って広い範囲の皮膚に到達し、水ぶくれを 作ります。

2) 症状
一定の神経の方向に沿って、体の片側に痛みや知覚の異常が起こり、その数日後に腫れを伴う赤 み、小さい水ぶくれが帯状に出現します。それらは徐々に濁って黄色くなり、2~3週間でかさぶたになり治っていきます。ひどい場合には潰瘍になることもあ ります。水ぶくれは頭、額~日の回り、胸、背中、おなかなどによく見られますが、手足にできることもあります。また、離れた2力所にできる場合や、全身に 水ぼうそうに似た水ぶくれがパラパラと見られることもあります。目の角膜にできると視力低下が起きることもあります。

3) 治療
軽症の場合は抗ウイルス薬の内服、消炎鎮痛薬の外用を行います。
重症の場合は入院とし、抗ウイルス薬の点滴を行います。かさぶたや潰瘍になった場合には、抗生物質含有軟膏が用いられることもあります。

4) 日常生活上の注意
・安静にし、十分な栄養と睡眠をとるようにして下さい。
・水ぶくれを破ると細菌感染が起こりやすくなるので、できるだけ破らないようにしましょう。もし破れたら抗生物質含有軟膏を塗りましょう。
・ほとんどヒトにうつすことはありませんが、水ぼうそうにかかったことがないヒトにウイルスが感染すると、水ぼうそうをおこすことがあります。
・ときに神経痛が長引くことがあります。完全な予防法は確立されていませんが、早めの治療が神 経痛発症予防に重要であることはわかっています。また、患部をあたためると血行がよくなり、痛みが楽になるので、感染の問題がなければ入浴をすることが勧 められます。この神経痛は普通の痛み止めは効きませんので、医師の指導に従って適切な治療を続けて下さい。
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