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家庭で知っておきたい 皮 膚 の 病 気

目次

3.動物による刺咬傷

3-1節足動物による刺咬傷
1.ハチ刺症
1) 原因

メスのハチはしっぽに産卵管が変化した毒針を備えており、これに刺されることによって生じます。ハチ毒素には痛みや炎症を起こす活性アミン類、発病ペプチドと、アレルギー反応を引き起こす可能性をもつ酵素類が含まれています。


2) 症状

受傷直後に灼熱感、発赤、腫れが生じひどい場合には、後に出血、水ぶくれ、壊死、潰瘍などが 生じてきます(図4)。一方、何回も刺されているとアレルギー反応が生じることがあります(頻度は約0.12%)。その場合は動惇、胸焼け、吐き気などの 気分不良や、じんましん、呼吸因難などが見られます。アレルギー反応が生じた場合は生命に関わることもあるので注意が必要です。
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図4

3) 治療

局所の炎症反応が軽い場合は、刺されたところを冷やし、ステロイド外用剤を塗って下さい。じ んましんなどのアレルギー反応が生じた場合は、直ちに病院を受診して下さい。抗ヒスタミン薬の内服あるいは注射、ステロイドの外用による治療が一般的です が、全身症状が生じた場合は、前述のじんましんの時と同様の処置が行われます。
なお、刺された翌日以降は基本的には生命の危険はないとされています。ただ、局所の症状が強い場合は、ステロイドの内服や局所注射が行われることもあります。


2.ムカデ咬症
1) 原因

ムカデの顎肢と呼ばれる牙に咬まれ、皮膚に毒液が注入され生じます。ムカデは暗く、湿った場所を好むので、風呂場などにしばしば出没します。

2) 症状

ムカデの毒素もハチの毒素と共通する物が多いため(活性アミン類、低分子ペプチド、酵素 類)、症状は似ており、咬まれた直後から激しい痛み、局所の発赤、腫れを生じます。時に、リンパの流れに沿って、咬まれた所から体の中心に向かって線状に 発赤、腫れ、痛みが生じリンパ節が腫れることもあります。また、まれにアレルギー反応が生じショ、ソウなどの全身症状が現れることもあります。


3) 治療
ハチと同様です。ただ、二次感染を生じている場合は抗生物質を併用します。

3.ドグガ皮膚炎
1) 原因

毒針毛を有するガ(ドクガ、チャドクガ、モンシロドクガ)の幼虫に触れることにより発症します。幼虫はバラ科やツツジ科などの植物の葉を食べており、庭木の手入れや公園の散歩などで幼虫に接することにより生じます。ただ、接触したことに気づかない場合が多くみられます。


2) 症状

顔面、頸部、四肢などの露出部に、毒針毛に触れて数分から数時間後に、痔みの強い赤み(紅斑)が出現し、次第に赤いぶつ(丘疹)となります。通常、多数かたまってみられます(図5)。
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図5


3) 治療

毒針毛を有する毛虫に触れた場合は、セロハンテープで毒針を除去します。その後ステロイド外用を行います。治るのに2~3週間かかります。


4) 生活指導
庭木の、特にツバキやサザンカに幼虫がいたら、殺虫剤で駆除します。その際、毒針毛に触れるのを避けるため、肌が露出しないようにしておくことが大切です。

 

3-2海生動物による刺咬症
1.クラゲ刺症
1) 原因、症状

クラゲの触手には刺胞毒があり、触れると灼熱感を伴った痛み、発赤、腫れを生じます。時にそ の後に水ぶくれができることもあります。場合によっては頭痛、筋肉痛や倦怠感などの全身症状が現れることもあります。また、沖縄に生息するハブクラゲにさ されると激痛により、ショック症状をきたすこともあります。


2)治療

カツオノエボシに刺された場合はこすらずに海水や水触手を洗い流し、氷や冷水で冷やします。一方ハブクラゲに刺された場合は、大量の酢をかけるのが最も良いとされています。また、命に関わる場合もあるので、すぐ病院に行って下さい。


2.魚による刺症
1) 原因、症状

コンズイ、オコゼ、エイなどの魚にはトゲがあり、刺されると激痛を生じその後、同部に発赤、腫れが生じます。時に壊死をおこし、潰瘍となることもあります。また、腹痛や嘔吐などの全身症状が現れることもあります。


2) 治療

まず、45度前後のお湯で局所を暖めるのがよいとされています。痛みが強い場合は局所麻酔薬の注射などが行われることもあります。

3-3ヘビ咬症

日本にはハブ、マムシ、ヤマカガシの三種類の毒へどが生息しています。このうち、ハブは沖縄・奄美地方にのみ生息しており、広島にはマムシとヤマカガシが見られます。

1.マムシ咬症
1) 原因

マムシは全長は60cmほどの小型のヘビで、色は褐色ないし赤褐色(茶色ないしこげ茶色)です。頭は三角形で、丸い大 きな斑紋が体の左右に1列ずつ並んでいるのが特徴です。性格はおとなしく、自分から攻撃を仕掛けることはないとされています。よく見られる時期は、毎年初 夏(田植えの時期や草刈りの時期)、そして秋(稲刈りの頃)です。場所は田畑が多いようです。

2) 症状
咬まれた直後の電撃性の痛みと、比較的速やかに発生して体の中心に向かって進んで行く局所の 腫れが特徴と言われています。また、受傷部には2カ所の改まれた痕(牙痕)が見られます(図6)。毒の量が多い場合には、頭痛、気分不良、動惇などの全身 症状が見られたり、腎不全などが生じ死亡したりする場合もありますので注意が必要です。
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図6

3) 応急処置
まず、ヘビを観察し、牙根を見て、マムシかどうかを確認します。マムシでないことが確認でき、痛みが軽度で、腫れが広がってこない場合は、家で消毒して様子をみていてもよいと思われます。
マムシであった場合はヘビ毒が体内に広がらないようにするため、局所を安静に保ち、咬まれた部位より心臓に近い部位を軽く縛って病院を受診して下さい。 ただし、その際は決して強く縛りすぎないように注意して下さい。神経障害や血行不良による皮膚、筋肉のダメージが生じる場合があります。

4) 治療
ヘビ毒はしばらく咬まれた局所にとどまるため、受傷後あまり時間がたっていなければ、局所を浅く切開して出血させ、毒素の排出を試みることがあります。次に抗毒素血清を注射してヘビ毒を中和します。
ただし、以前に抗毒素血清を注射されたことがある方は、2回目の注射によリアレルギ一反応が生じる危険がありますので、医師にその旨を伝えることが重要で す。その他、十分な輸液に加え、二次的な感染症予防のため、抗生物質の点滴や、破傷風トキソイドが併用されることもあります。いずれにせよ、入院加療が勧 められます。

2.ヤマカガシ咬症
1) 原因

ヤマカガシは体長60~140cmのヘビで、本州・四国・九州・大隈諸島に分布しています。水陸両生で、性質はおとなしいとされています。
毒牙を持っていますが、□の奥にあるため、かまれて毒が注入されることはめったにありません。ただ、頸部にも毒腺があり、これが目にはいると失明すると言われています。

2) 症状
毒が入ると、血液を固まらせる力(凝固能)が失われてしまうため出血、血便、全身的な皮下出血が生じます。さらに、頭痛、吐き気、リンパ節の腫れ、意識混濁や腎臓の機能障害などが生じることもあります。

3) 治療
ほとんどマムシと同様です。ただ、マムシと違って出血しやすくなるため、輸血などが行われることもあります。
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