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家庭で知っておきたい 皮 膚 の 病 気

目次

1.やけど(熱傷)

やけどは高熱によって起こる皮膚の損傷です。5歳以下の乳幼児に多く見られます。原因は熱湯によるものが多いとされています。

1) 診断

熱度の強さ、接触時間の長さ、範囲の広さ、受傷部位、年齢によって症状、経過、今後の見通しが異なります。重症度においては損傷の及んだ皮膚の深さと受傷面積が重要です。面積が広い範囲のやけどや、小さくても深いやけどは必ず医師にみてもらいましょう。


2) 皮膚の構造

皮膚は大きく3層構造になっており、上から表皮(かわ)、真皮(み)、皮下組織(しぼう)に 分けられます。表皮は皮膚の最も外側にあり、角質(あか)をつくる角化細胞からなっています。真皮はその下にあり、神経、血管、汗腺、毛、脂腺などが存在 します。主に皮膚の張りと弾力を保つ働きがあります。皮下組織はその下に存在し、衝撃から身を守る、体温を保つ、エネルギーを蓄えるなどの働きがあります (図1)。

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3) 深さによる重症度分類

 
原因
状態
臨床症状
経過
第1度熱傷
(図1)
日光
中高温の湯
表皮のみの
障害
発赤、軽い痛み 数日で自然に治る
傷は残らない
第2度熱傷
(図2)
浅い2度 ひどい日焼け
熱湯
真皮浅層まで
の障害
発赤、水疱
ひりひり感 1から2週間で治る
傷は残らない
色素沈着が残る
深い2度 高粘度の高温
液体
てんぷら油
ガス爆発
化学熱傷
真皮深層まで
の障害
水疱
(その底はやや白っぽい)
痛みは軽度 3から8週間かかる
一般的に手術が必要なことが多い
傷跡が残る
第3度熱傷 衣服の炎上
電撃症
低温やけど
皮下組織から
深部にまで至
る障害
白色、黒色の皮膚
痛みはない
毛は容易に抜ける
自然治癒は難しい
手術が必要
傷跡や引きつれが残る

 

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図1 やけど1度
図2 やけど2度


4) 受傷面積の簡単な計算方法

やけどの広さについては、同じ面積をやけどしたといっても、赤ちやんと大人では体に与える影 響が全く異なるため、その人の皮膚全体を100%と考え、その何%の面積をやけどしたか、という指標で表します。それには9の法則が簡便で有用です(図 2-1)。腕、大腿、下腿(それぞれ左石)、胸、腹、背中、腰からおしり、首から頭部の11カ所を9%ずつ割り振り、陰部を1%とし全体で100%としま す。例えば左大腿前面と、右腕全体では9×喜十9で13.5%となります。ばし、子供は頭の大きさが大人に比べ相対的に大きいため、少し変更が必要です (図2-2)。一方、面積が小さい場合や、とびとびに存在する場合は、手掌法が有用です。これは受傷者の手のひらを1%としてカウントします。
図2-1
図2-1
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15z02-0201.gif
小児
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乳幼児
Wallace の"9"の法則
Blocker の法則


5) 治療

基本的には外用療法が中心となります。受傷初期には深さがわかりにくいため、まず、抗生物質含有軟膏の外用が用いられます。数日~1週間くらいすると深さが明らかになるので、皮膚の状態に応じた外用薬に変更されます。

一方、中等症以上のやけどでは入院加療が必要です。なかでも、きわめて重症の場合は命に関わるため、熱傷専門病院のICUで管理されることもあります。また、ある程度以上の面積のある深い2や3度のやけどでは皮膚の移植手術(植皮術)が行われます。


重症度による入院、通院治療の基準(表)

重症
(熱傷専門病院や総合病院で
の入院加療を要する)
中等症
(一般病院での入院加療)
軽症
(通院可能)
・1度30%以上
・2度10%以上
・顔面熱傷、手足の熱傷
・気道熱傷疑い
・崩肉や皮膚の損傷を伴う場合や骨折が
見られる場合
・1度15~30%
・2度で顔面、手足を除く10%未満
・1度15%未満
・2度2%未満


6) 応急処置

基本は冷やすことです。やけどをしたらすぐ流水(水道水)で冷やしましょう。冷やすことによ り、痛みを軽くするだけでなく、やけどの進行を遅らせることができます。冷やす時間は、体の部位や年齢などにより異なるため一概には言えませんが、大体 15~30分は冷やすようにしましょう。手足のやけどでは、1時間くらい冷やすと有効的と言われています。衣服の上から受傷した場合は、服の上から水をか けます。
服を無理して脱がすと、水ぶくれが破れて、痛みが強くなったり、感染をおこしたりする原因になることがあります。ただ、服の上からではやけどをおこした部 位がわかりにくいため、広めに水をかけるなどの注意が必要です。顔や首など、直接水をかけるのが難しいところは水(氷水)にひたしたタオルで冷やして下さ い。そのときは、すぐにタオルが温かくなるため、頻回に取り替えて下さい。また、手や指にやけどするとそこが腫れてくるため、指輪などの装身具は早めには ずすようにしましょう。
時に民間療法(醤油、アロエ、みそを塗るなど)が行われることがありますが、決して行わないで下さい。百害あって一利なしです。

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