救急小冊子

救急小冊子のお申し込み

緊急時の対策や予防など様々な情報をご覧いただけます。

※救急小冊子内の記載事項及び連絡先等は発行当時のものです。

おかあさんが知っておきたい 子どもの病気(外科編)

目次

1.おなかが痛い

131-2.gifおなかが痛いというのは、いろいろな病気の初発症状である可能性があります。ただし小さい子、特に乳幼児は大きい子のように痛みの種類や部位、性質など を正しく訴えることはできません。だからほかの症状や触診などの客観的な所見から痛みの原因に迫る必要があります。乳幼児がなんとなく元気がないとき、食 欲不振や拒食がみられるとき、落ちつきがないとき、ごろごろと横になっているとき、わけも分からず泣き続けるとき、下腿を曲げた姿勢をとるとき、原因不明 の腹部膨満がみられるときなどには腹痛の存在を疑わなければなりません。おなかの痛くなる病気は表1に示したように数多くありますが、今回は頻度の比較的 高い虫垂炎について説明します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


表1 腹痛をきたす、こどもの病気

 
外 科 的
内 科 的
消 化 器 系 虫垂炎
腸重積症
そけいヘルニア(かんとん)痛
胆道拡張症 胆嚢炎
十二指腸潰瘍(穿孔)
メッケル憩室
内ヘルニア
腸閉塞 腸穿孔
消化器異物
便秘
胃腸炎 下痢症
臍疝痛
アレルギー性紫斑病
自家中毒症
急性膵炎 胆管炎
心因性反復腹痛
クローン病 潰瘍性大腸炎
泌尿生殖系 睾丸捻転 睾丸垂捻転
水腎症
尿路結石 尿閉
睾丸炎 副睾丸炎
原発性腹膜炎
腎孟炎遊走腎
腫   瘍 腎腫蕩(ウイルムス腫蕩)
袖経芽腫
肝芽腫
奇形腫(後腹膜、卵巣)
 
そ の 他 腹部外傷 肺炎

一般には「盲腸炎」とよく言われていますが正しい病名は虫垂炎です。図1に示したように大腸の始まりのところは盲端になっており、ここを盲腸といいます。

 

131-3.gif

この盲腸からちょうどミミズのようにとび出している部分が虫垂です。ここもやはり腸の一部ですから便が出たり入ったりしていますが、この狭い内腔が硬い 便や種などの異物、腫大した壁のリンパ装置などにより狭められると出入りができなくなってしまいます。その結果先端のほうに便が溜まってそこで化膿してく るのが虫垂炎です。そのまま腫れ続けるといずれは破裂穿孔し、腹膜炎となってしまいます。腸の神経はすべて胃の裏あたりにつながっておりますので最初はみ ぞおちの付近に痛みを感じますが次第に虫垂が位置するおなかの右下に痛みや圧痛が集まってきます。背中の筋肉や腹膜に炎症が波及しますと歩いたときや押さ えた手を急に離したときなどに痛みが強くなるといった症状が出てきます(絵2)。熱もそれほど高くはありませんが37,8度にはなります。虫垂炎の初期に は風邪などの他の病気と区別するのがかなりむずかしいことが多いのですが、ここまでくると素人にもわかるような、普通の痛みじゃないぞといった重症感が出 てきます。腹痛が半日以上も続く場合やいつになく重症感がある場合には小児外科のある施設を受診するのがよいと思います。病院では診察以外にふつう血液検 査(白血球数、CRP )などで炎症の有無を調べ、レントゲン検査や超音波検査で診断を確定します。治療は虫垂炎の可能性が高いと診断されたら手術をして腫れた虫垂を切除します が、最近では内視鏡を用いて手術を行い、傷もとても小さくすることもできるようになっています。俗に盲腸を散らすという内科的な治療もありますが、本当の 虫垂炎なら再燃しやすいと言われています。穿孔して腹膜炎になっていなければ、ふつうは1週間以内に退院できるようになります。


前ページ:「はじめに」へ 

戻る

 次ページ:「2.おうと嘔吐」へ