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肺の救急 -疾患の知識と救急処置-

目次

IV.救急処置の基礎知識

IV-1 気道確保

呼吸停止の項で述べたような方法で呼吸停止が確認されたら、すぐに気道確保と人工呼吸を行う必要があります。呼吸停止後時間が経てば救命率が急速に落ちるからです(図4)。

 



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急に呼吸が止まってから人工呼吸を開始するまでの時間が5分以上になると、救命できる率が著しく低下する

(家庭医学事典より)

図4 呼吸停止後の救命率

 

但し、救命手技は文章で読んだからといってそのまま実行できるものではないので、救急の講習会などの機会があれば参加して身につける必要があります。
気道確保に際して、口腔内の異物や吐物を除き、入れ歯ははずします。最も良い気道確保は頭部の後屈と下顎の前方への引き出しによって得られます(図5)。

 




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(A)呼吸の有無を確認しながら、一方の手をひたいに置き、もう一方の手はうなじに置いて頭を後ろにそらせる





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(B)(A)でうまくいかないときには、うなじに置いた手を外して顎の先の骨の部分(おとがい部)に置き、口が閉じる程度に持ち上げる
図5 気道確保


 

IV-2 人工呼吸法

気道確保だけで呼吸が回復する場合もありますが、回復しない場合は人工呼吸を行います。ここでは救急の現場で最も行いやすい口対口人工呼吸法について述 べます。先ず額に手を置き相手の鼻をつまみ空気が漏れないようにします。もう一方の手で首を持ち上げ気道を確保します。大きく口を開け深く息を吸い込んで 相手の口を塞ぐようにして静かに吹き込みます。この時、相手の胸壁が上昇するのを確認します(図6)。その後は5秒に1回のリズムで続けます。




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図6 口対口人口呼吸法


 

IV-3 気道異物の除去

気管、気管支などの気道内に異物が入ると、普通は反射的に咳が生じ異物は喀出されます。緊急処置が必要なのは、気遣内、特に喉頭、気管に詰まってしまった場合です。この場合背部叩打法とハイムリック法を用います。
背部叩打法は背中を叩いて異物を排出させる方法で主に乳幼児を対象として行います。子供を自分の手の上に腹ばいにさせ、手で顔をささえて反対の手で背中を強く叩きます。(図7)



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図7 背部叩打法


 

ハイムリック法は腹部を圧迫して横隔膜を押し上げることにより胸脛内庄を高め、咳と同じ原理で異物を外に押し出す方法です。立位または坐位では、相手の 後ろから握りこぶしをみぞおちにあて、反対の手でこれを握り、抱きかかえるようにして手前上方に強く引くという方法です。臥位では、両側の胸部下部を下方 に圧迫します。(図8)




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(立位)
(坐位)

 



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(臥位)
図8 ハイムリック法による異物の除去

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