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産婦人科の救急

目次

III 婦人科の救急

1.卵巣腫瘍の茎捻転、破裂

卵巣には体の内でもっとも多くの種類の腫瘍ができます。卵巣腫瘍は、液体がたまった腫瘍(のう胞性腫瘍)とかたい腫瘍(充実性腫瘍)に分類されます。
のう胞性では約95%が良性腫瘍であるのに対して、充実性では良性腫瘍は約10%で、90%は低悪性腫瘍と悪性腫瘍です。また腫瘍が大きくなってもほとんど症状がでないため、検診を
受けないと、早期発見は難しい病気です。

1)卵巣腫瘍茎捻転

腫瘍のつけねがねじれる(捻転)ことにより、突然に激しい下腹部痛、はきけ、嘔吐がおこり、ショックになることもあります。今まで無症状であったものが、急に痛みのあるシコリを触れるようになります。

2)卵巣腫瘍の破裂

卵巣腫瘍が自然に破れることが時にあります。とくに、卵巣子宮内膜症で卵巣内にたまったチョコレート状の古い月経血が腹腔内に漏れて強い痛みをおこして緊急手術が必要となることがあります。


2.卵巣出血

卵巣出血には、排卵期におこる卵胞出血と黄体期におこる黄体出血の2種類があります。
突然の下腹部痛と腹腔内出血により貧血となり、子宮外妊娠とよく似た症状がみられますが、無月経などの妊娠徴候はなく妊娠反応も陰性です。
止血のため手術をしますが、軽症の場合は自然に止血することもあります。


3.子宮筋腫の茎捻転、壊死、筋腫分娩

子宮筋腫は子宮筋に発生する良性腫瘍で、過多月経と月経困難症が主な痘状です。
40才代にもっとも多く、35才以上の婦人では小さいものを含めると約20%に筋腫がみられます。
子宮筋腫には発生する部位により次のような種類があります。

各種筋腫の発生部位
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有茎性漿膜下筋腫(図の(2))が細いつけね(茎)の部分でねじれたり、筋腫のコブが壊死となり、強い腹痛をおこすと緊急手術が必要となります。また、有茎性粘膜下筋腫(図の(5))が腟内に脱出してくる(筋腫分娩)ときは、陣痛のような痛みと出血がつづきます。

4.急性骨盤内炎症
付属器炎(卵管炎、卵巣炎)と骨盤腹膜炎を骨盤内炎症といいます。
細菌やクラミジアが原因となって、急性の子宮内膜炎、卵管炎、卵巣炎、腹膜炎がおこります。
発熱や下腹部痛、圧痛が主な症状で入院して安静と抗生物質で治療しますが、炎症の強いときは排膿を目的として手術を行います。
後遺症として子宮の後ろに膿瘍をつくったり、癒着による不妊症や子宮後屈の原因になるため、軽症のうちに早期に治療することが大切です。

5.性器へルペス
性器へルペスは単純へルペスウイルスによっておこります。主として外陰部に病変がみられるため、外陰へルペスととも呼ばれます。
臨床症状から、(1)急性型、(2)再発型、(3)誘発型の3つのタイプに分類されます。このうち緊急治療が必要なのは急性型です。
急性型は外陰部のかゆみと軽い発熱で始まり、外陰部に水疱をつくり、多発性の潰瘍が左右対称にあらわれます。病変は腟、子宮頸部にも及び強い痛みと、ソ ケイ部のリンパ節がはれて、高熱、頭痛などの全身症状もみられます。痛みによって歩行困難や、排尿困難がおこり入院治療が必要となることもあります。
治療は抗ウイルス剤の軟膏、内服、静注がよく効きます。
妊娠に合併したときの取扱い
お産のときお母さんに性器へルペス感染症があると産道内感染により、出生後に新生児へルペス症がおこることがあります。赤ちゃんの死亡率は90%と最悪のため、感染を防ぐために臨床タイプと発症の時期によって帝王切開分娩を行います。

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