救急小冊子

救急小冊子のお申し込み

緊急時の対策や予防など様々な情報をご覧いただけます。

※救急小冊子内の記載事項及び連絡先等は発行当時のものです。

こころの救急 -不安・興奮・錯乱-

目次

IV 自殺あるいは自傷

自殺による死亡は、日本人の死因の7番目にランクされ、肝臓病や腎臓病による死亡者とほぼ同じ数です。自殺未遂は、その10倍以上にも上ると考えられ、 救急センターに収容されるケースの10%前後は自殺によるものといわれています。自殺という行為には、精神・身体両面において急いで対応しなければなりま せん。
自殺の手段として最も多いのは縊首ですが、自殺未遂としてよく遭遇するのは、服薬、服毒、ガスの使用などが挙げられます。以下に手段別の簡単な注意事項を示しておきます。
1)縊首

確実に死にいたるケースが多いのですが、実行後5分以内に発見されれば救命の可能性があります。

2)服薬

睡眠薬や精神安定剤による自殺の場合、服薬後2時間以内であれば、胃洗浄を行う必要がありま す。最近の安定剤は安全に出来ていますので、以前ほど死にいたるケースは多くありません。むしろ恐いのは、抗うつ剤の大量服用で、心臓に障害が現れること がありますから要注意です。
自殺率の変化

3)服毒

日本での服毒自殺の大半は、農薬によるものです。応急処置としては、ぬるま湯を飲ませて吐き出させることです。病院に運ぶときに、服用したと考えられる薬品の容器を持参すると、治療に役立ちます。

4)ガス

自動車排気ガスや都市ガスによる一酸化炭素中毒がよくみられます。応急処置としては新鮮な空気を吸わせることですが、人工呼吸や高圧酸素療法が必要になることもあります。高齢者では、いったん意識が回復した後に再び悪化する(間欠型)こともあるので、油断は禁物です。


自傷として最も多いのは、手首を切る(リストカット)ことです。これは、死にたいという気持ちよりも、周囲にアピールしたいという潜在的な気持ちの現れのことが多いものです。
自殺を図った場合、身体的対処とともに、もちろん精神的ケアも重要です。自殺未遂後、70%の人は「自殺は愚かな行為だった」と考え、精 神的援助を期待しているといわれます。我々の経験でも、自殺を図ったうつ病の患者さんが、3ヶ月後には元気を回復し、「あのときは死ぬしかないと思ってい たが、今考えると悪い夢でも見ていたような」と述懐されることはよくあります。
自殺は、その原因・動機によって適切な対応が異なり、多くの場合再自殺は未然に防げるものですから、うやむやにすることなく、なるべく早く精神科専門医に相談されることをお勧めします。


前ページ:「III 様子がおかしいとき」へ 

戻る

 次ページ:「V こころの救急を支える「精神保健法」」へ