禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

受動喫煙に関する県民の意識

広島大学大学院医系科学研究科
疫学・疾病制御学 助教
杉山 文

 わが国の受動喫煙の状況については、厚生労働省が毎年実施する国民健康栄養調査(無作為抽出された世帯およびその構成員約18,000人を対象)において平成22年度から把握されている。調べてみたところ、平成22年度は「家庭」で「ほぼ毎日」受動喫煙機会がある割合は15.1%(非喫煙者では10.7%)、「職場」で「ほぼ毎日」受動喫煙機会がある割合は16.1%(非喫煙者では8.8%)、「飲食店」で「月1回以上」受動喫煙機会がある割合は36.1%(非喫煙者では32.2%)であったが、平成29年度においては「家庭(毎日)」10.6%(非喫煙者では7.4%)、「職場(毎日)」11.5%(非喫煙者では5.2%)、「飲食店(月1回以上)」33.5%(非喫煙者では31.3%)とそれぞれ減少している。わが国における受動喫煙が、このようにはっきりと減少傾向にあることがわかり、とても晴れ晴れとした気持ちになった。ただ、非喫煙者の飲食店における受動喫煙については減少傾向が乏しく、対策強化が求められる。
 広島県医師会禁煙推進委員会は、広島大学大学院医系科学研究科疫学・疾病制御学研究室の協力のもと、広島県内で行われる大規模イベント(ひろしまフードフェスティバル2016、80万人規模、2日間)の来場者(18歳以上、男女)を対象とした聞き取り調査『健康に関する県民の意識調査2016』を2016年10月に行った。集計対象者は3,805人(男性34.7%、女性64.8%)であり、95%が広島県民であった。同調査の結果、非喫煙者だけでなく、なんと喫煙者においてもその約6割が受動喫煙を「嫌だ」と感じていることが示され、受動喫煙対策を推進することに対する社会的コンセンサスは十分得られていると考えられた。一方、同調査の結果からは課題もみえてきた。「あなたは受動喫煙の害をなくすにはどうしたらいいと思いますか」という問いに対して、約3分の1が「公共の場を"分煙"にすべき」と回答していたのである。受動喫煙を防止するためには「分煙対策」では不十分であり、「完全禁煙(100% smoke free environment)」だけが受動喫煙の防止に有効であることが、広く周知されていく必要がある(なお、本調査結果の詳細については現在、『廣島醫學』に投稿中である)。

*World Health Organization (WHO). Policy recommendations on protection from exposure to second-hand tobacco smoke. 2007.

https://www.who.int/tobacco/resources/publications/wntd/2007/pol_recommendations/en/

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