禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

「新型タバコ」を理解する

石井外科診療所 石井 哲朗

 最近「新型タバコ」という言葉をよく聞く。「電子タバコ」「加熱式タバコ(電子タバコ)」とか「加熱式電子タバコ」などという表記もあり違いがよく分からない。タバコを吸わない私が「新型タバコ」を理解するには、まず用語の理解から取り組む必要があるようだ。そこで2017年に公開された「非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する日本呼吸器学会の見解」の中の表「新型タバコの分類」を参考に整理してみた。
 まず、従来のたばこ(紙巻きたばこ)を「燃焼式タバコ」とし、これとは異なる新しいたばこ製品を「新型タバコ」と分類すると、「新型タバコ」は大きく二分される。
 一つは「電子タバコ(E-cigarettes)」と呼ばれ、液体(リキッド)を加熱しエアロゾルを発生させ吸引するもので、ニコチンを含むもの(electronic nicotine delivery systems(ENDS))と含まないもの(electronic non-nicotine delivery systems(ENNDS))に分類される。ENDSは英国で禁煙補助薬として認可されているがその安全性には議論がある。ENNDSの中にはいわゆる「脱法ハーブ」や大麻の摂取手段として利用されるものがあり、先日国内でも「大麻リキッド」所持で有名ヒップホップミュージシャンが起訴された。「電子タバコ」の吸入を俗に Vape(ベイプ)と呼ぶ。
 もう一つは「非燃焼・加熱式タバコ(Heat-not-burn tobacco)と呼ばれ、葉タバコを直接加熱し、ニコチンを含むエアロゾルを吸引するタイプと、低温で霧化する有機溶剤からエアロゾルを発生させた後、タバコ粉末を通過させてタバコ成分を吸引するタイプ(仕組みからいうと「電子タバコ」に近い)がある。前者の製品にはヒートスティック(フィリップ・モリス社:喫煙具名iQOS(アイコス))、ネオスティック(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン社:喫煙具名 glo(グロー))の2種があり、日本国内で販売されている。後者の製品には日本たばこ産業が販売する喫煙具 Ploom TECH(プルームテック)を用いるメビウス・フォー・プルームテックがある。「非燃焼・加熱式タバコ」は一般に「加熱式タバコ」と総称されている。
 これら「新型タバコ」の健康リスクは0ではない。iQOSのパンフレットにも「たばこ関連の健康リスクを軽減させる一番の方法は、紙巻きたばこもiQOSも両方やめることです」と非常に小さな文字で記載してある。
 さらに受動喫煙の危険も指摘されている。「燃焼式タバコ」使用者の吐き出す「見える煙」と同様に、「加熱式タバコ」使用者は大量の「見えにくいエアロゾル」を呼出している。「燃焼式タバコ」の受動喫煙による健康リスクについては明確な科学的根拠があるが、「新型タバコ」の受動喫煙による健康リスクについての科学的根拠を得るには時間がかかる。しかし平成32年4月施行予定の健康増進法改正案では、受動喫煙を生じる恐れが明らかでない「加熱式タバコ」を厚生労働大臣が指定し、飲食店に専用の喫煙室(飲食可)を設置することを認めるという。
 前述の「非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する日本呼吸器学会の見解」では、

1.非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用は、健康に悪影響がもたらされる可能性がある。

2.非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用者が呼出したエアロゾルは周囲に拡散するため、受動吸引による健康被害が生じる可能性がある。従来の燃焼式タバコと同様に、すべての飲食店やバーを含む公共の場所、公共交通機関での使用は認められない。

と表明している。
 「加熱式タバコ」の使用は喫煙だと思っていない使用者も多く、「加熱式タバコ」の使用を許可する「禁煙」の飲食店もある。「加熱式タバコ」各製品の受動喫煙による健康リスクが明らかとなるまでは、上述の見解が広く周知されるよう学会や医師会の広報活動に期待したい。

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