禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

新型タバコ(特に加熱式タバコ)について

日本赤十字広島看護大学 名誉教授 川根 博司

 この禁煙コーナーに『「ベープ(VAPE)」のお話』と題し、電子タバコに関する拙文を書いたのは約2年半前である(広島県医師会速報2252号 2015年1月25日号)。わが国ではニコチン入りの電子タバコは禁じられていることもあってか、最近、喫煙者の間で加熱式タバコが急速に普及している。本稿では、電子タバコや加熱式タバコなど新型タバコについて、マスメディアへの投稿文を再掲するとともに、最新情報を紹介したい。

若者に急拡大する電子たばこのリスク(ニューズウィーク日本版2015年8月25日号)

 吸引器を使って香りの付いた液体を熱し、煙の代わりに蒸気を吸う電子たばこが世界で人気だ(「高校生に広がる電子たばこ」7月7日号)。オックスフォード・ディクショナリーズが発表する「ワールド・オブ・ザ・イヤー」では、Vape(ベープ)が選ばれた。特にアメリカの高校生の間では、深刻なレベルまで広まっているようだ。
 しかし、健康への慢性的な悪影響の有無を判断するには、まだ普及からの年月が足りない。米食品医薬品局は、電子たばこ製品や電子たばこ販売店への新規制を発表する構えらしいが、その効果が期待される。

幻想にすぎない電子たばこの安全性(ニューズウィーク日本版2016年3月29日号)

 電子たばこに使うフレーバーの溶液が健康被害を招く場合があるという(「電子たばこの安全は味しだい」3月1日号)。記事にある研究では、一部の溶液に含まれるベンズアルデヒドの危険性が指摘されていた。
 香料として食品にも使われる成分だが、問題は蒸気にして呼吸器系に吸入するという使い方にある。人間の肺は空気を吸うためのもので、たばこの煙や電子たばこの蒸気を吸入するためには作られていないのだから。

安全で快適な空の旅は夢物語?(ニューズウィーク日本版2017年7月25日号)

 電子たばこや加熱式たばこは煙を出さないが、周囲の人に害がないわけではない。しかも、内蔵のリチウム電池が発火したり爆発したりする可能性もある。だとすれば、機内への持ち込みと預け入れは禁止されるべきだろう。

加熱式たばこ 規制を(中国新聞2017年8月31日付)

 先日、広島市内で若者が、口に何か黒い物をくわえて歩いているのに出会った。それは、今流行している加熱式たばこであった。
 加熱式たばこは火を使わず煙や灰が出ないので、普通の紙巻きたばこから切り替える人が増えているという。
 だが、煙が出ないとはいうものの、その蒸気はプロピレングリコールなどの不凍液の蒸気や、ニコチンなどの成分を含んでいる。
 臭いも少ないため、禁煙の施設や飲食店の中に、加熱式たばこはOKとするところまで出てきたようだ。
 無自覚であっても、周囲の人の健康に悪影響を与える可能性があるので、許容されるべきではない。
 煙は出ないで、臭いもわずかな加熱式たばこは、有害性が見えにくくなって、レーダーに探知されにくいステルス戦闘機のようだ。
 1箱当たりの税額も紙巻きたばこより小さい。従来のたばこと同様に厳しく規制して、増税も検討すべきであろう。

現在、国内で販売されている加熱式タバコは、フィリップモリスの「アイコス」、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの「グロー」、日本たばこ産業の「プルーム・テック」の3ブランドである。フィリップモリスは世界に先駆けて日本市場に製品を投入したが、その商品名アイコス(iQOS)は"I Quit Ordinary Smoking."(私は通常の喫煙をやめる)を意味するそうだ。3社はこれら新型タバコの販売促進にかなり力を入れており、もっとシェアが広がるだろう。
 9月7日、自民党の宮沢洋一・税制調査会長は、通常の紙巻きタバコに比べて税負担が軽くなっている加熱式タバコの増税を平成30年度税制改正で検討する方針を明らかにしたところである。

(本文中、「タバコ」と「たばこ」の表記が混在しているが、マスメディアに掲載されたものはそのまま「たばこ」とした)

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