禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

厚労省受動喫煙防止対策たたき台

広島県医師会
常任理事 津谷 隆史

 今国会における第3回の厚生労働委員会が11月8日に参議院にて開催されました。今回、厚生労働委員会委員としてスタートした自見はなこ議員が初めての委員会質問をし、その中で日本の受動喫煙対策についての質問がありました。
 "日本の受動喫煙防止対策が現在、世界と比較してどのような状態であると受け止めているのか、また厚生労働省ホームページ上で公表している提案を満たした場合、世界水準にどの程度近づくのか"という質問でした。
 この質問に対し回答したのは厚生労働省健康局長、福島靖正氏でした。福島氏は2015年に発表されたWHOの評価において、日本は受動喫煙防止策、脱たばこ・メディアキャンペーン、たばこの広告・販売・後援の禁止の項目において「最低」レベル。さらに、医療や教育施設、大学、官公庁、一般の職場、レストラン、カフェや居酒屋、公共交通機関の8つの場所のすべてで、日本は全面禁煙になっておらず、「最低」と酷評されたことを挙げ、2020年の東京オリンピック、パラリンピックに向けて、罰則付きの受動喫煙対策を進めていくとの答弁でした。具体的には10月12日に厚生労働省からのたたき台として、規制強化案が発表されています(表)。

表 受動喫煙防止対策の強化の内容(たたき台)

施設の類型強化(案) イギリス韓国
官公庁建物内禁煙
社会福祉施設建物内禁煙
運動施設(スタジアム等)建物内禁煙
医療機関敷地内禁煙
小学校、中学校、高校敷地内禁煙
大学建物内禁煙

サービス業

飲食店、ホテル・旅館(ロビーほか共用部分)等のサービス業施設

原則建物内禁煙
(喫煙室設置可)
事務所(職場)原則建物内禁煙
(喫煙室設置可)
ビル等の共用部分原則建物内禁煙
(喫煙室設置可)
駅、空港ビル、船着場、バスターミナル原則建物内禁煙
(喫煙室設置可)
     
バス、タクシー全面禁煙 
鉄道、船舶原則禁煙
(喫煙室設置可)

※ A...敷地内禁煙、B...建物内禁煙、C...建物内禁煙(喫煙室設置可)

注)喫煙室は喫煙のみ許可。飲食、従業員サービス禁止。

表)日本禁煙学会 http://www.jstc.or.jp/modules/information/index.php?content_id=78

 ここで注意しなければならない点は、喫煙室設置に関してではないでしょうか。厚生労働省案では、英国と韓国の受動喫煙対策の混合型をゴールにしています。これに関しては日本禁煙学会のコメントがあります。すなわち、飲食サービス施設を含むすべての屋内空間は完全禁煙にすべきであり、その理由は「喫煙室」の出入りに際して必ずタバコ煙が漏れること。「喫煙室」の掃除、機器のメンテナンスを行う労働者が濃厚な受動喫煙、サードハンドスモーキングにさらされること。日本の飲食サービス産業従業員の多くは、受動喫煙によって大きな健康リスクを負わされること。「喫煙室」の設置と空調機能維持に多額の費用がかかるため、「煙の漏れる、形だけの喫煙室」つまり「欠陥喫煙室」が多数作られる結果となり、受動喫煙は防止できない。との意見です。
 今回の厚生労働省たたき台が公表され、タバコ業界、飲食業界から多くの反対意見が出ていいます。私たちは厚生労働省案の原則禁煙を応援しつつ「屋内喫煙室の設置を可」に反対すること、また飲食店業界などを説得して行く必要があります。
 受動喫煙防止対策の歴史的第一歩を踏み出し、日本のスモークフリー元年を確実に実現する。との厚生労働省の熱い願いを実現できるよう、医師会として協力を惜しむべきではありません。また、今回の厚生労働委員会において、しっかり意見を述べていただいた自見はなこ議員に熱いエールを送り、しっかりサポートして行きたいと思います。

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