禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

受動喫煙対策を考える

広島県医師会
常任理事 渡邊 弘司

 広島県における禁煙対策に関しては、広島県がん対策推進条例(平成27年3月16日条例第2号)第4章に「受動喫煙防止対策」として記載されています。屋内における受動喫煙の防止として第24条が、屋外における喫煙の防止として第25条が定められています。この受動喫煙防止基準の最も厳しい建物内第1種に定められている官公庁、学校、医療施設、児童福祉、公衆トイレなどでさえ、禁煙または分煙という規制で、この"条例"に基づく義務については、県民総ぐるみで取り組むこととしていますが、強制力を伴わない(罰則なし)努力義務としています。ちなみに、第4種である屋外での規制は、学校や遊具のある公園、横断歩道や停留所などの施設の付近の公道で喫煙をしないまたは灰皿は施設から7m離すというものですが、その効果はどれほどのものでしょう?
 健康ひろしま21は、"県民が一生を通じて心身ともに健康であることを実感できるよう、県民の生活の質の向上と個人を取り巻く家庭・地域・学校・産業などの連携による社会環境の質の向上に取り組むため、計画を策定"することが趣旨とされています。つまり、県民の健康に向けた項目と目標を設定し、それに向けた具体的な対策を提唱するものです。
 健康ひろしま21にも、たばこ対策が組み込まれています。目標項目は、「喫煙する人の割合の減少」「妊娠中の喫煙をなくす」「公共の場における禁煙・分煙の実施」「COPDの認知度の向上」の4つです。目標達成のための取り組みとして、喫煙による健康被害についての普及啓発の推進、喫煙をやめたい人への禁煙支援、受動喫煙の防止が記載されていますが、受動喫煙防止に対する具体的な施策は示されていません。
 健康ひろしま21の一環として平成25年度に実施された広島県県民健康・栄養調査調査票における「たばこ」関連の質問は、「これまでたばこを吸ったことがありますか」「これまでどのくらい吸ったことがありますか」「ここ1か月、たばこを吸っていますか」「慢性閉塞性肺疾患(COPD)という病気を知っていますか」という4問でした。今年度(平成28年)、再調査を実施するにあたり、広島県が提示してきた付加すべき主な質問項目案は、"特定健診の受診に係る意識調査""健康づくりへの関心と実践状況""たばこ関連"の3点であり、たばこ関連に関しては「タバコをやめたいと考えているか、きっかけは何か」という、やはり、喫煙者を対象とした質問でした。平成28年度健康ひろしま21推進協議会において、委員からは受動喫煙の効果または、影響に関して調査をすべきではないかという意見が出されました。
 厚生労働省健康局に設置された「禁煙の健康影響に関する検討会」が公表した"たばこ白書"にも、受動喫煙による肺がん死亡リスクの上昇が明記されたにもかかわらず、受動喫煙防止に対する広島県の意識はまだまだ低いように思われます。これまで、生活習慣病に罹患された方に対する医療費負担は、ほかの疾患に対する医療費負担額と同等でよいかという議論がありましたが、喫煙によって発症したと考えられる健康被害に対しても、ほかの疾患と同様の医療費自己負担でよいか議論が必要ではないでしょうか。個人的には、自らが喫煙して罹患した疾患に対する負担額の増額は、ある程度検討されてしかるべきと思いますが、受動喫煙によって罹患した疾患に対する医療費自己負担額は、むしろ減額すべきではないかと考えます。

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