禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

東京都包括受動喫煙防止法案の制定を速やかに実現すること(その23)(最終章5)

広島市立安佐市民病院
名誉院長 岩森 茂

 引き続いて問題点と解決策を提言していく。
④官公庁庁舎勤務中全面禁煙、さらに可能な限り敷地内禁煙...地域住民の健康を希求する官公庁職員は、首長以下勤務中は全面禁煙することは、約2割の喫煙職員の8割の非喫煙者に対しての礼儀でもある。すでに折にふれて述べてきているが、他職員の受動喫煙を防ぐために、smoke free の執務環境を作る義務がある。従って喫煙者の執務中は絶対「喫煙」してはならない。勤務中禁煙を厳しく要求するために喫煙者には喫煙タイムを与えよとの要求もあろう。しかし、非喫煙者に比較して労働時間のロスを考える時、1日数回喫煙でデスクを離れてもその能率低下は否めない(1回7分とし5回離席しても35分、賃金を1時間2,200円と仮定すると年間約31万円の労働時間のロス(大和浩教授))。それ以上に健康被害を本人と同僚に与えたことになり、身体的、心因的に想像を絶する被害が生じることとなる。すでに勤務時間内禁煙を実施している県、市町村もあるが、それを批判する職員はほとんどいないのではなかろうか!!最近では微粒子(PM2.5)の衣服付着の問題が重要視されるようになったので、なおさら喫煙の家族への無視できない悪影響が生じてきている。
 敷地内喫煙であるが、これも広い敷地を有している所と狭い敷地の場合もあり、勤務より解放された喫煙者の喫煙所選びは大変である。大阪などは一つ河を渡った所に自由喫煙の場が設けられているが、余り広くない敷地では職員の出入口より平均30m位、しかも風向きに配慮した部位に喫煙所(ブース)をつくる必要がある。簡易な建物でよいが、比較的開放されたもの(大和浩教授設計)が推奨される。これは職員の受動喫煙防止のためであると同時に庁舎への煙の侵入を防ぐ目的もある。職員執務中は外来客が使用するものとして、これも分りやすく喫煙ブースとしてのステッカーを貼っておくと共に簡単に説明文をつけておく必要がある。
 ともあれ、庁舎内喫煙室を作ることは絶対禁ずること(その理由はさきに喫煙室問題で提言している)。
⑤議員棟における喫煙問題...これはしばしばトラブルが生じていることを知っている。私は東京オリンピックに備えての理想的スモークフリー環境を考えているので、国会で問題となっている議員控室での喫煙も御法度と思っている。従って、議会棟事務室で働く事務員と同様に執務中はもちろん、控室で休憩中も議員棟内では禁煙すべきである。それは一般職員が同じ棟内で執務しているからである(女子職員が多い)。広島市では議員棟に喫煙室を設置する要求が出てきたが、広島県禁煙支援ネットワークのメンバーが出向いて、その増設を中止してもらった経緯がある。
⑥自家用乗用車禁煙厳守...全世界のほとんどがこの法令を制定している。北海道の歯科医 清水氏によると、北海道において親の運転する乗用車にしばしば同乗する幼児(子ども)の歯齦が黒くなっていることを実証した。直接聞いたが、たばこ煙を頻回に吸う子どもは喫煙者と同じような口唇、歯齦が青黒くなるとのことである。これは学問的にも証明されているが、私はそれ以上に同乗する子ども(幼児を含む)の煙害を恐れている。特に恐ろしいのは小児喘息の発症、さらには増悪を起すことである。その他呼吸器障害、特に鼻、呼吸器アレルギーなどを起す危惧もあり、その事実をしばしば見聞している。本連載(その20)にも一寸ふれたが、タクシー禁煙に厳しく迫ってマイカーには自由喫煙可とは考えられることではなく、運転者が父、母を問わず絶対に、特に幼児の場合の受動喫煙は厳しく避けるべきである。何となく吸ったたばこの煙を吸引した幼児が窒息死を起しかけた例もあり、政府は速やかに法規制すべきであると考えている。この子たちが大人になって、カナダのたばこの警告文に「children see, children do」の文言があるが、これは日本の昔からの警告文でもあることを知ってもらいたい。
⑦東京都銭湯の会(寺島法子代表)...これに引き続いて禁煙飲食店を応援する会など次々と出現してきている。いずれも目的とするところは smoke free を目指しているところである。ここでは東京都銭湯の会をあえて取り上げた。それはすでに北海道でソ連船船員を銭湯の方で歓迎した事実があるが、地域住民からこれに反発を受け、せっかくの親善が日本人客は遠慮してソ連人船員のみとなった話を聞いたことがある。私は直ちにこの話に対して手を挙げた。それは簡単な理由であった。ソ連船員の刺青(tattoo)の問題である。日本人は昔から刺青をしている人をやくざとして眺める風習があり、親から子への忠告としても行われている。このたびのオリンピックをみても他国の男子選手の刺青が目立った。日本のやくざのごとく周囲を威圧するようなものはないが、シャワー付きの銭湯に入ってみたい外国人客の希望者は少なくないと思われる。寺島氏の話を聞かないと分らないが、特にアメリカなど私も留学していたので再々お目にかかったが、なかなか愛嬌のあるものも多い。私は銭湯を外国人客用として改造してでも、これら外国人ゲストに楽しい経験をさせてはと思っている。もちろん smoke free は看板に貼ってあるはずである。
 ここでは省いたが、禁煙飲食店を応援する会も禁煙運動に熱心な長谷章氏が代表を務めているが、これは多くの外国人ゲストの喜んでいるところであろうし、ぜひPRをしていただきたい。

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