禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

飲食店などの第3種施設の表示義務

広島県医師会
常任理事 山田 博康

 昨年のことですが、仲の良い3夫婦で、美味しいと評判のお店に行きました。評判どおりであり、美味しくいただいていましたが、近くのカウンター席に1組のカップルが入って来ました。その男性が遠慮気味に「吸っていいですか?」とカウンターの向こうで料理を作っている店主に尋ねました。すると店主は今までどのテーブルにも置いていなかった灰皿をどこからか取り出して、「どうぞ」と勧めたのです。私たち6人や、他の客が居るにもかかわらずです。そして先日、××医師会内で食事に行くことになり、幹事役の先生がその店を予約したことを知り、私は即座に行くのをとりやめました。小さな抵抗ですが、続けます。
 広島県では平成27年3月16日に広島県がん対策推進条例が交付され、受動喫煙防止に係る規定が平成28年4月1日より施行されています。その中で屋内における受動喫煙の防止が第24条として記載され、飲食店などの第3種施設の表示義務について、施設の管理者は、施設の入り口に「禁煙」「分煙」又は「喫煙可」の表示をする義務がある、ことになりました。ただし、本条例の義務は強制力を伴わない(罰則なし)義務としているため、飲食店の禁煙の表示はまだまだ少ないようです。
 私はこの禁煙コーナーで、飲食店の禁煙に関して何度か書きました。皆さんもご存じの美味しい店を紹介するミシュランガイドがあります。そこで紹介されている店において喫煙しながら食事をしている客が居るような店が本当に美味しい店なのか、喫煙しながら味の評価ができるのか、美味しい料理を出していると自負している料理人がなぜ喫煙を許すのか、喫煙者の周囲の人は本当に食事を美味しく、楽しくいただくことができるのか、とミシュランガイドではタバコの影響が考慮されていないことに気づき、その評価を私は疑問視しています。
 飲食店の管理者、経営者の方々は、美味しい料理を提供し、店の評判を上げ、客が多くなることを望むと思います。では、なぜ店を禁煙にしないのですか。客は喫煙者が多いと思っているのですか。
 平成25年の厚生労働省の「国民栄養の現状(国民栄養調査)」での成人喫煙率(習慣的に喫煙している者)は19.3%。性別では男性32.2%、女性8.2%であり、男女とも減少傾向を示しています。またタバコを生産販売しているJTの全国喫煙者率調査では、平成26年(厚生労働省調査の1年後)の平均喫煙率は30.3%と公表しています(1年あとの調査で、しかも数値が10%も高いのは調査対象が恣意的なものを感じるが...)。
 喫煙者は成人のたったの19.3%、19歳以下をいれた全人口で計算し直すと、全人口の16%(15.9%)なのです。経営者ならば、16%を対象にするのと84%を対象にするのと、どちらを対象にするのがいいのかは明らかと思います。広島県は全国に先駆けて、屋内における受動喫煙の防止を条例にしました。そしてその運用は広島県人である私たちに任されたのです。店の入り口に「禁煙」を表示してください。私はそのような店を応援します。「禁煙」を表示している店は全国民の84%が応援していると思ってください。

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