禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

英語俳句とスモークフリー・ワールド

広島県医師会禁煙推進委員会 顧問
日本赤十字広島看護大学
名誉教授 川根 博司

Smoke-free world

a rosy future

on its way

 これは朝日新聞の Asahi Haikuist Network(2014年5月30日)に載った私の英語俳句である。直訳すると「煙のない世界/バラ色の未来/その途上に」となるが、五・七・五にして「煙なき バラ色未来 すぐそこに」ではいかがだろうか。英語俳句(haiku)は私の数少ない趣味であるが、今から28年前に初めて haiku のことを知った。当時私が理解したのは、「フロッグポンド」という機関誌を出している米国俳句協会(1968年設立)の定義づけを参考に、haiku では5・7・5音節にこだわらなくても、英語で3行分かち書き(3行詩)として詠めばよく、季語は必ずしもいらないということであった。軽い気持ちで作った

stethoscope

between patient and me

a smile

(聴診器/患者と私のあいだに/ほほ笑み)が幸運にもニューズウィーク日本版「HAIKU 歳時記」(1988年6月2日)に掲載され、それからずっと句作にいそしむようになった。ニューズウィーク誌から同欄がなくなり、現在は前述の Asahi Haikuist Network に Doc Sunday の俳号で投句している。
 前掲句のほかに今まで掲載された禁煙関連の haiku をいくつか紹介したい。なお、3行に分けるのが本当であるが、スペースの関係でスラッシュ(/)を使って表すことにする。
 Junior High / 800 eyes warned / no smoking 〔中学校への出前講座で、約400名にタバコの害について話をした際に詠んだもの。後日、講演の模様は広島テレビで放送された。〕
 Cigarette package / on the former smoker's tomb / autumn equinox 〔季語を入れて5・7・5シラブルの定型にした。「お彼岸に タバコ供える 無知(無恥)の人」と意訳してみた。〕
 Smoke-free world / dreams go wandering / early fall 〔芭蕉の句「旅に病んで 夢は枯野をかけ廻る」から着想を得た。非喫煙者を病気や死の道連れにしないためにも、早くスモークフリー社会の夢がかなってほしい。〕
 スモークフリーという言葉が世間に知られるようになったとはいうものの、まだ喫煙自由(どこでもタバコが吸える)と誤解する人がいる。そこでこのスモークフリーは、バリアフリー、タックスフリーと同じく、「ない」とか「免除」という意味のフリーであることを説明するようにしてきた。今後は、5月27日のオバマ米大統領の広島訪問があったことでもあり、nuclear-free world(核なき世界)を説明に付け加えようかと思っている。次に示した haiku は2016年6月3日付の The Asahi Shimbun(http://www.asahi.com/ajw/articles/AJ201606030002.html)に掲載された作品である。

Peace Memorial Park

President Obama stands

Free of nuclear arms

--Doc Sunday (Hiroshima)

 6月下旬、オバマ大統領が広島訪問の際に広島市に贈った自作の折り鶴を原爆資料館へ見に行った。さすがに大勢の人だかりで皆カメラに収めていたが、私も何とか写真を撮ることができた。図はその折り鶴の写真に私がかつて詠んだ haiku(Paper cranes / Memorial Day / no more Hiroshima)を重ねたものである。昨年発行の広島県医師会速報(第2276号)の拙文「ヒロシマから Love & Peace」において、ヒロシマから「Smoke-Free With Love & Peace」というメッセージを発信していきたいと述べた。もちろん核兵器廃絶は重要な課題ではあるが、「核なき世界」より早く「煙なき世界」が実現しやすいような気がする。

図 オバマ大統領の折り鶴と私のhaiku

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