禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

東京都包括受動喫煙防止法案の制定を速やかに実現すること(その20)(最終章2)

広島市立安佐市民病院
名誉院長 岩森 茂

 古都京都市の対策はどうなっているのであろうか?神奈川、兵庫、大阪を紹介しておきながら、京都を忘れるのはその名誉を傷つけることになると考えた。理由は東京以前の古都でもあり、山紫水明、古い歴史に満ちた尊命敬食(長谷章医師命名)の都でもある。2000年当初にはわが広島と競って禁煙運動をしていたところであるが、私が尊敬する親しい女医さんが亡くなって少し tone down したようである。しかも建物内禁煙法は現在も生きているが、最近許し難い京都市とたばこ産業の癒着問題が明らかになった。それは2012年12月9日付けの京都新聞の記事である。その内容は「『官民一体で店頭ステッカー全市表示大作戦』という見出しで、全面を使って飲食店の店頭に『喫煙/分煙/禁煙の表示』を始めることのお知らせが、しかも、その推進者として行政の代表者としての京都市保健福祉局長の名前と顔写真、その両側には京都府受動喫煙防止憲章事業者連絡協議会会長(京都府旅館ホテル生活衛生同業組合理事長...たばこ産業側の人)、さらに日本たばこ産業K.K北関東支社長の3名が仲良く並んでいるのです。京都新聞2015年11月号で京都府で検討されていた条例化はたばこ産業の被害にあったことを簡単に触れておりましたが、まさか保健福祉局長がたばこ産業側の代表者を左右に従えて新聞に掲載されるとは開いた口が塞がりません」とのごとくである。
 京都市では東京都と同じく受動喫煙防止対策のためのステッカーを保健福祉局長が率先して表示するのをすすめたことになる。ステッカーなのでどこに貼るのか自由、貼らなくても科料はつかないはずであるが、将来のことを考える時、保健福祉局長はJTの task force の甘言に乗せられたとみえ、誠に残念至極だ。この京都新聞の記事と相前後して東京都の学生が「オリンピック・パラリンピックで『タバコフリー』実現を目指す大学生の会」主催により、国で起す旨で活動する超党派の議員連盟会長を務める自民党の尾辻秀久元厚生労働大臣ら12人の現・元国会議員が参加するシンポジウム「18歳選挙権行使大学生による政策提言イベント」が開かれているが、学生たちの提言が実に見事なので、ここに付記しておく。
 (1)「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」に則り、公共施設での屋内全面禁煙と、違反した個人及び施設管理者に対する罰金を科すことを規定した受動喫煙防止法を2020年までに規定、施行すること。
 (2) 2020年までにたばこ税を段階的に引き上げること。なお、たばこ税増収分を、受動喫煙防止事業、肺がん検診受診助成、受診勧奨事業、未成年者の禁煙治療費助成事業、葉たばこ農家の転作、たばこ販売店の転業支援事業に用いる制度を整備すること...これは純粋な学生たちの声として捉えた国会議員の禁煙運動の第一人者松沢成文参議院議員が感激の声をのべている。私も学生たちの提言に全く同感するものであり、終章の結びに大いに参考になった。
 私のサマリーの前に書き残しておきたいことは、幼児同乗マイカーのドライバーの全面禁煙(絶体)を法令化すること。いとし子を死に追いやるな!!これは分煙問題では片付けられない問題である。最近厚生労働省役人を睥睨しているような分煙の御旗をふりまわすJTは、PRまかりならぬラジオ放送も「美しき分煙」として登場している。ともあれ、最後に付け加えておこう。北京市のPM2.5濃度は最悪の日は700~900μgと言われているが、分煙の喫煙室(会社)内に設置されたPM測定機データは喫煙者10~15人1分間で最高値1,550μg、最低値625μg、ついでながら屋外の自動販売機内の最高値は50μg超(大和教授調べ)、感受性の高い人は大変だ!!屋内に喫煙室のある限り、そこで働く非喫煙労働者の受動喫煙被害は想像を絶するものがあり、屋内全面禁煙はぜひとも貫いてほしいものである。
 この点を配慮した青森県庁の実例を示すと、屋内喫煙室を廃止し、喫煙室を屋外入ロより約30m離れた所に置き複数喫煙者の悪影響を少なくするために、半開放型にすることを推奨した(大和浩氏)とのことである。
 最後に一応紹介しておきたいのは「銭湯禁煙」のことであり、これにはすでに東京都で「スモークフリー銭湯の会(寺島法子代表)」が強力な運動を開始していることである。

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