禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

東京都包括受動喫煙防止法案の制定を速やかに実現すること(その19)(最終章1)

広島市立安佐市民病院
名誉院長 岩森 茂

 喫煙室不要論つづき...喫煙室問題はJTのプレゼントであることは判っているつもりであるが、厚生労働省が率先してその援助を打ち出したことには驚いている。国民の健康を守るとの大義のもと、一部の人々の禁煙をすすめることから「喫煙室へハイ!!どうぞ」とは中国清国が作った阿片窟の過去が苦々しく思い出されるのである。「禁煙できないものは喫煙室を利用してください」とはJTの思うつぼであり、厚生労働省としては将来に禍根を残す冒涜、愚かな喫煙室を作る業者に50万円補助をつけるという補助令を出してしまった。この耳打ちを担当したのがJT taskforce と思っているが、古に戻って明治政府が日露戦争時、その戦費をかせぐためにたばこの増産を行った史実、これはやがてはたばこ事業法成立につながり、JTがその上にあぐらをかいたごとく、厚生労働省法令に分煙という言葉をプレゼントをして、法令解釈を安易化するに至ったのではないか?との疑念が生じるのである。官公庁における勤務中喫煙の問題も喫煙職員の既得権的解釈が根ざしていることも余りにも嘆かわしい現実であり、彼らの健康問題、周辺非喫煙職員に対する悪影響を考えても、勤務中全面禁煙は当然指令されるべきであったのに、施行されているのは大阪市ほか数市にすぎない。模範は全国の大病院の敷地内全面禁煙となっていることである。
 官公庁喫煙職員の喫煙行動は休憩時間を利用してのみ許されるべきであるが、これは完全に守られているとはいえず、さらに喫煙場所は決まっていても大半の職場はエレベーターを利用して屋上の喫煙コーナーを利用するため、その費用は公費とはいえず、さらにたばこ1本吸うのに約6分としても片手でスマホを持って遊ぶのが大半であり、これを8回とすれば48分、仕事のロスも考えねばならないが、詳細は省略する。さらに喫煙室を作った場合はその維持費も考えねばならない。最近では空気清浄機などを置くことは意義がないのでなくなったが、厳しく喫煙室対策を考える場合、室内喫煙者同士のP.S問題である。身近で濃厚な煙害を受けねばならず、その上PM2.5の身体への浸み込み問題、お互いに深呼吸をしながらの吸煙、ある人が表現しているが、マフラーにストローを入れてその煙を吸う煙害など好煙家仲間同士の悪影響もひどいものがある。さらに排煙経路と除煙機能である。排煙のダクトであるが、単に排気口を喫煙室に付けるという安易な考えではいけない。厚生労働省がこの点いかなるルールを考えたか?は知らないが、店外店内喫煙室を含めその経路はできるだけ高い排気口をもつべきであり、近隣に迷惑をかけては大変だ。私は広島マツダ球場を建てる時、設計技師に球場の最も高い位置に排気口を設置してもらった経験がある。既に喫煙室設計については扉の開閉時に排気のない風速0.2m/sを確保し、しかも事業所の設営基準であるCO2、CO濃度なども定期的に測定する必要もあろう。しかも喘息患者、化学物質過敏症などの患者が近寄らないことも注意書きの必要がある。最近安保法案で国会が揺れているが、憲法第25条でも「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と謳われているが、厚生労働省はこの点を理解して喫煙者をさらにガス室へ飛び込みすることを誘導するのであろうか?非常に恐ろしい感じもするが、厚生労働省役人も舛添都知事に随行して世界の禁煙事情を視察してくればよかったのに!!と考えたりする。
 喫煙室問題を今号で終わりにするつもりであるが、随伴問題が次々と出てくるので、忘れないうちに2つに絞って取り上げてみる。その1は喫煙室の維持費である。一般的には1ヵ月平均25万円とされているが、これは清掃対象が「やに」であるために年2回程度は大掃除が必要となり、清掃員が防毒マスク着用の要も出てくる。私はより費用が嵩むものと思っている。その2はPM2.5汚染の問題である。これは他のたばこ煙害も含まれるが、1.PM0~15は最も空気の質の良好な状態で健康被害なし、2.PM16~40は特に感受性の高い人に呼吸器障害が出現する、3.PM41~65では感受性の高い人に呼吸器症状が現れる、4.PM66~150では一般の人に呼吸器症状が現れる、弱者には危険、5.PM151~250、一般の人々の呼吸器疾患が明らかに増える、6.PM251以上、一般の人の呼吸器に重い症状が現れるなどの研究結果も発表されている。

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