禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

医師の喫煙について

公立学校共済組合中国中央病院
平田 教至

 国民全体の喫煙率は、平成26年の国民健康・栄養調査によると、全体で19.6%(男性で32.2%、女性で8.5%)となっています。喫煙率は徐々に下がってはきていますが、ここ4年間ほどは、ほぼ横ばいであるようです。
 一方で医師の喫煙率は、順調に低下してきているようで、日本医師会の調査では、平成24年(2012年)には男性12.5%、女性2.9%と国民全体の喫煙率よりは低いようです。ちなみに広島県の医師の喫煙率は昨年の日本禁煙学会で、広島県医師会の津谷隆史先生たちが発表されています。平成26年は6.2%(男性7.4%、女性0.9%)と2年前(平成24年)の12.8%よりさらに低くなっているようです(広島県医師会速報第2284号)。
 さて、たばこを吸う医師をさらに減らすためには、どうしたら良いのかを少し考えてみました。

1. たばこを吸い始めるきっかけを作らない

2. 喫煙できる場所を制限する

3. 喫煙をしているデメリットを増やす

4. たばこの有害性を十分に理解すること

 などが必要であろうと考えます。
 1番目についてですが、多くの人がたばこを吸い始めるのは、大学生になってからであり、大学でたばこを吸う機会を作らないことが重要です。私の母校では、平成24年度から全学で敷地内を全⾯禁煙としているようで、現在、全国の大学で敷地内禁煙が進んでいます。しかし、まだ喫煙場所を残している大学もあるようですが、みなさんの母校ではどうでしょうか。
 2番目の喫煙できる場所の制限については、公共施設や職場で吸えない環境を用意することが重要です。病気を治し、健康増進に貢献しないといけない医療機関においては受動喫煙防止の観点からも、敷地内禁煙をするのは義務であると考えます。ところが厚生労働省の報告書「平成26年(2014)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」によると、敷地内禁煙ができているのは病院で51%、診療所では30%とまだまだ徹底されていない状態が報告されています(図)。昨年12月にはこのことが、新聞などでも報道され、患者の健康をサポートする立場の医療機関としては不備が目立つと、論評されています。病院も診療所も、敷地内禁煙の割合は100%になるべきではないでしょうか。

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 3番目のデメリットを増やすという点で有効と考えることの一つに、専門医の資格取得にたばこを吸っていないことを条件に課す方法があると思います。現在この条件が必要なのは、呼吸器専門医や循環器専門医など、ごく少数です。平成29年度からは、新しい専門医制度が開始されようとしていますが、内科、外科を始めとした基本19領域の学会専門医ではこの条件はないようです。喫煙の悪影響が考えられない領域はほぼないことを考えると、各学会は、ぜひ専門医の必須条件として、医師がたばこを吸っていないこと、禁煙指導ができることなどを課してもらいたいと思います。
 4番目については、たとえどの領域の医師であっても当然知っておくべきことであり、今更言うまでもないことでしょう。
 最近プロフェッショナルオートノミーという言葉を盛んに耳にします。たばこの問題についても、国民やメディアに指摘される前に、医師としてのプロフェッショナルオートノミーを発揮して、自らの姿勢を正し、自らを律していくことが重要であると考えます。

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