禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

東京都包括受動喫煙防止法案の制定を速やかに実現すること(その17)(総括編7)

広島市立安佐市民病院
名誉院長 岩森 茂

 喫煙室不要論...私の最終の目的である東京都包括受動喫煙防止法制定に当たって、最も大きい障壁となる喫煙室の問題はどうしても整理しておくべき条件となってくる。これは分煙という言葉とも切っても切れない問題でもある。
 ここでまず今までの日本政府の受動喫煙防止対策に関する法律、指針、ガイドラインの進展を年代的にまとめておこう。

1996年...職場における喫煙対策のためのガイドライン

2003年...職場における喫煙対策のためのガイドライン(非喫煙者の保護を優先)

注:1996年に喫煙者と非喫煙者の共存喫煙室もしくは喫煙コーナーの併存が推奨されている。これに従って喫煙室に排気装置を設置し、禁煙区域との境界で一定の方向を確保する(0.2m/S)。一定の要件を満たす喫煙室を推奨、排気装置を設置できない場合のやむを得ない対策として、空気清浄装置を容認。

注:この年に喫煙室と空気清浄装置が初めて出現した。同年「健康増進法第25条第5項受動喫煙の防止」が堂々と登場した。内容は立派であるが、今までおいて惜しむらくは努力義務に終わったことである。

補填:世界の動き...同じく2003年、たばこ規制に関する世界保健枠組条約(WHO)を採択。2005年同発効と速やかなたばこ規制の条約(2010年)が進展した。

2010年...職場における受動喫煙防止対策に関する検討会報告書が発表され、職場のP.S防止対策を安全配慮義務の観点から義務化「多数の者が利用する公共的空間は原則として全面禁煙であるべき」「少なくとも官公庁と医療機関は全面禁煙」たばこの規制に関するFCTC(Framework Convention on Tobacco Control)を背景とし、P.S防止対策の強化、たばこ煙は発がん物質、P.Sの曝露に閾値は存在しないとして全面禁煙を第一選択として推奨、一定の要件を満たす喫煙室もやむを得ない措置として容認、ニコチン代替製剤や内臓薬などによる禁煙治療の情報を提供。

サービス産業は一律に求めることは困難として例外扱い。

2010年...日本産業衛生学会は許容濃度等の勧告、発がん物質第一群にたばこ煙を追加

2010年...閣議決定で新成長戦略(2020年)までに、P.Sのない職場の実現。今後の職場における安全衛生対策に関して建議。

2011年...P.S防止対策を義務化する労働安全法改定案国会提出(これは2012年衆議院解散により廃案)

2012年...閣議決定、2022年までに月1回以上、P.Sを受ける人の割合を行政、医療機関では0%、飲食店などでは45%から15%に。家庭で毎日P.Sをする人の割合10%を3%に。成人の喫煙率19.5%を12%に減少させる。

2012年...厚生労働省告示:P.S防止対策の徹底について

以上のごとく進展してきた。ただし2012年第2次の健康日本21の改定案について、残念ながらJTと歩調を合わせたごとく分煙という言葉が出現してきており、地方行政がこれをよりどころにしたP.S防止案を堂々と発表するようになったが、歴史の流れとはいえ、私は大いに嫌な予感をもつこととなった。案の定、東京都受動喫煙防止ガイドラインによると、禁煙と分煙を並列として、神奈川、兵庫両県の条例を引用して空間分煙、時間分煙、完全分煙なる新語を駆使して、さらに福祉保健局は分煙ステッカーを作製して各飲食店に貼るよう指示を出した。近い将来、日本も批准しているFCTCに逆行したこのガイドラインはやがては廃案になることは必至と思われる(注:P.S=受動喫煙の略)。

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