禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

がん対策加速化プラン

広島県医師会
常任理事 津谷 隆史

昨年12月3日に厚生労働省、がん対策推進協議会から、「がん対策加速化プランへの提言」なるものが、とりまとめられた。日本のがん対策は昭和59年以降、「対がん10か年総合戦略」「がん克服新10か年戦略」「第3次対がん10か年総合戦略」と10年ごとに戦略の改訂を行い、施策を実施してきた。さらに、平成19年4月には、がん対策をより一層推進するため、がん対策基本法が施行され、「がん対策推進基本計画」が策定された。

この計画案において、平成29年までに「がんの年齢調整死亡率(75歳未満)の20%減少」との目標が掲げてあったが、このままの状況ではこの目標達成が困難な状態になっているようだ。これらを踏まえ、厚生労働省としても対策で遅れているところを加速しなければならないとのことでこの提言が作られた。

内容も短期集中的に実行できるような具体的施策の提言として、以下の3点に絞られている。

1. がんの予防

予防や早期発見を進め、「避けられるがんを防ぐ」こと

2. がんの治療・研究

治療や研究を推進し、「がんによる死亡者数の減少」につなげていくこと

3. がんとの共生

就労支援や緩和ケアなどを含む包括的な支援により、「がんと共に生きる」ことを可能にする社会を構築すること

この提言の中には、基本計画の全体目標である「がんの年齢調整死亡率(75歳未満)の20%減少」を達成できない大きな理由の一つにタバコ対策が遅れていることが指摘されている。

平成26年版厚生労働白書によると、日本人の死亡者のリスク要因のトップはダントツで喫煙が原因であり(図)、明らかにタバコ対策を急がなくてはならない。

具体的な対策として、喫煙率を下げるために、

1. タバコ税の税率を引き上げる。

2. ニコチン依存症に対する禁煙治療の保険適用を拡大する。

健康影響に関する情報提供を行うために、

1. 未成年者・妊産婦に対する健康教育を強化する。

2. タバコの容器包装の注意文言を見直す。

3. タバコの広告に関する指針を見直す。

受動喫煙を減らすために、平成31(2019)年のラグビーワールドカップおよび平成32(2020)年の東京オリンピック・パラリンピック開催までに、関係府省や都道府県などと連携しつつ、受動喫煙防止対策を強化する。

以上を提言している。しかしよく見ると、この内容はすべて10年前に日本も批准しているWHOのタバコ規制枠組条約そのものであり、言い換えれば、日本が条約をいまだに遵守していなかった結果である。

「がん対策推進基本計画」達成のためには、アクセルをいっぱいに踏み込んで加速していただかなければならない。あと1年少ししかない。厚生労働省、政府にはより一層の努力をお願いしたい。

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