禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

東京都包括受動喫煙防止法案の制定を速やかに実現すること(その14)(総括編4)

広島市立安佐市民病院
名誉院長 岩森 茂

JTの企業策略
 私は以前に「たばこ事業法は悪法である」とのテーマで数稿をまとめたことがあるが、その後のJTの戦略についてはわれわれの知らないところで大きな網を張っている。世界3大たばこ会社として、特にJTI(日本たばこインターナショナル)活動は目覚ましいものがある。日本国内を美しい文句で分煙傾向を拡大させ、公務員が庁内禁煙で困ると、直ちに喫煙場所作りに協力している。ところが彼らのもくろむ喫煙所は単なる喫煙ブースであるのがほとんどである。禁煙厳守を謳わない限り、官公庁の喫煙所は相次いで作られていくだろう。しかし、吸い殻を灰皿にポイ捨てするより見栄えがよい。
 さて、国はたばこ事業法に全く手をつけないのは、その所管財務省がJTの大株主であり、財務省自体が潤っているため、JTは大手を振って「たばこ」事業法の推進に励んでいる。さらに国外で暗躍するJTIが英、米、ロシア、最近では台湾などにも触手を伸ばしている。国内に目を向けても国会議員団の数による協力は目覚ましいものがあり、地方議員も同様で東京都特に自民議員団の反禁煙運動の厳しさには目を見張るものがある。
 これらを動かすのは、私はJTの Task force(特別機動隊)の存在(仮定)だと疑っている。その下部組織にはたばこ協同生活組合云々の組織も動いていると思っている。JTのたばこ策略で最も忌わしかったのが、故平山博士の偉大なる業績を反古にしようとしたことであり、これにはJTによる刺客も複数登場したが、国際的に踏み潰された。恥かしいかな!この横暴な論文は日本人により書かれた。民営化したJTは、なお財務省に塩、たばこ部門を残し、たばこ葉関係で、農林水産省にもその籍を置き、さらには経済産業省が自動販売機、スーパー、コンビニでのたばこ販売権などに関与している。それのみではない!政治家特に自民党員に多いが、たばこロビイストにも多額の投資をしているようだ。JTとしてはJTIを通じて、各国の政策も敏感にキャッチし、たばこ販売に隘路があれば莫大な資金網の元に Task force が暗躍することとなる。豪、米との多くのたばこ利権獲得の争いには数多くのものがある。
 一方FCTCは早くから、その第13条に「すべての宣伝、販売促進、スポンサー活動を禁止する。あらゆるイベント、活動、個人に対する寄付行為も禁止する」など明記しているが、詳細はここに付記する余裕がないほどきめ細やかである。特にJTはFCTC批准に対して、他国に極めて遅れてたばこ包装への警告文も活字化したが、残念ながらその規格も守っておらず、絵入りの説明は全くされていない。ところが、奇妙なことに東南アジアなどで売られている日本製品には警告文、写真入りの包装がされているのはどういうことだろう。JTは日本国民を無視し、FCTCを踏みにじったPRを続けていることになる。JTの企業策略は、換言すれば戦略であってその精鋭部隊(Task force)ががむしゃらに動き回っていると思われる。その他CRS(Corporate Social Responsibility)活動もちょっと触れたかったが、字数の都合で省略する。文中の事例はすべて引用したものである。

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