禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

意外にあなどれないサードハンドスモーク(三次喫煙)

広島県医師会禁煙推進委員会 委員
本通トータルヘルス内科クリニック 平賀 裕之

 サードハンドスモークとはタバコを消した後の残留物から有害物質を吸入することを指し、三次喫煙や残留受動喫煙とも言います。喫煙室に入った時、喫煙者はいないのに「タバコくさい」と思うあの臭いや、服や髪についたタバコの臭いで、有害物質の暴露を被ってしまうことです。
 サードハンドスモークについては、5年前の2009年にこの禁煙コーナーで初めて取り上げて書かせていただきました。その後さまざまな研究がなされ、最近ではこのサードハンドスモークのヒトに対する悪影響は予想以上に大きいことがわかってきました。
 車や部屋の内部に残留するタバコのニコチンが、大気中の亜硝酸と反応して発がん物質であるニトロソアミンがつくられることが示されています1)
 またカリフォルニア大学リバーサイド校を中心とした研究グループによると、タバコの煙にさらされたコットンのクロスから、赤ちゃんや成人がどれくらいの影響をうけるか推定したところ、受動喫煙に比べサードハンドスモークでうけるニコチンは、赤ちゃんや子供で6.8倍以上、成人で24倍以上となり、さらにニトロソアミンについては、赤ちゃんや子供で16倍以上、成人で56倍以上とのことです2)。受動喫煙が体に悪いというのはすでによく知られていますが、サードハンドスモークについて、わずかなタバコの残留物質でも長時間暴露をうけることにより、受動喫煙以上の悪影響があるようです。
 喫煙している保護者に対し、子供のそばや寝具を置いているところでは絶対に喫煙しないように啓発していく必要があります。タバコの煙が引き起こす健康被害から子供たちを守るために、喫煙している保護者はどうしなければならないのか。サードハンドスモークを防ぐためには、屋外で喫煙し服を着かえてから子供に接するということが必要になります。さらに言えば、髪についた有害物質はどうするか、呼気中の物質はどうするか、そうなるとシャワーもあびなければならないし、呼気中の物質が減るまでしばらく時間を待たなければならなくなります。そういう手間を考えると、禁煙が一番よいということは明らかです。

1) Sleiman M et al. Formation of carcinogens indoors by surface-mediated reactions of nicotine with nitrous acid, leading to potential thirdhand smoke hazards. Proc. Natl. Acad. Sci. 107(15):6576-81, 2010.
2) Bahl V et al. Thirdhand cigarette smoke: factors affecting exposure and remediation. PLoS One. 9 (10):e 108258, 2014.

戻る