禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

GTS(Green Tobacco Sickness)について

広島市立安佐市民病院
名誉院長 岩森 茂

福島原発の悪影響をマスコミの報道で知るにつけ、私たち禁煙運動家は常にたばこ害はどうなっているのだろう?との疑問を抱えている。
(1) 仮設住宅では受動喫煙防止はどうなっているのだろう?
(2) 被災者によってはたばこ害など考える暇はない?
(3) たばこ農家もあるはずだが、栽培たばこ葉の放射能被害はまったく新聞に載らない(私が見落としているかも知れない)?
(4) どこの国のたばこ葉でも製品化されたら放射能(ポロニウム、ラジウムなど)を含むとされているが、今後はセシウムの核種も含まれるようになるのか?
(5) 被災たばこ農家の現状、今後について、そのコントロールを行っているJTはまったく教えてくれない?くさいものにふたをするのがJTの体質ではあるが?
この際、JTもこれらのことについて、総合的見地から収入減の内容を含め、ぜひ、公表をするべきと思うのであるが...。
さて、首題に戻ろう。
この話題は、禁煙関係者の間では早くから知らされている。見逃す問題ではないことも判っていたが、はっきり言って今までその暇がなかったのが実情であった。
古く Tobacco Control(7,294-298:1998)誌に紹介されており、私も原文を読んだが、当時はあまり興味を持たなかったのが本音である。しかし、旭中央病院の神戸先生がこれを紹介されているので引用させていただく。特に私はこの度マンション禁煙の問題に頭を突っ込んだ関係で、急性ニコチン中毒の範疇に属するGTSもぜひ皆さまに知っておいてもらいたいと思うようになった。すなわち、GTSはたばこ葉を素手で収穫したり、切断して積み込むなどの時に起こるもので、早朝や雨上がりなど葉が湿っている時に起こりやすく、その原因にたばこ葉からしみ出したニコチンが皮膚に接し、吸収されることにより起こる。
GTSの症状には、脱力感、頭痛、悪心、嘔吐、めまい、腹痛、呼吸困難、体温の異常、顔面蒼白、下痢、悪寒、血圧や心拍数変動、発汗、唾液分泌の亢進などがある。
曝露後3時間~17時間で発症し、1日~3日持続する。対策は仕事を休み、服を替え、シャワーを浴びて、水分を十分に取ることが必要である。
症状の強い例には補液、制吐剤、抗ヒスタミン剤を投与する。
予防としては、耐水性の衣服、ケミカルレジスタントな手袋や長靴を着用し、乾燥した環境で作業を行い、さらに必要に応じて抗ヒスタミン剤を服用することが、GTSを防ぐ一般的な対策である。これはアメリカのバージニア葉生産地方の若い女性に多発したことで話題になったことがある。
これに青森県で長く禁煙活動に携わっておられた薗ピンク先生の追加分を加えてみると、青森県のたばこ農家の健康問題に詳しい保健師さんから聞かれた話として、早くからたばこ栽培農家にはGTSの危険性が判っており、長袖の着用、たばこの畝と畝の間は125cm、株と株の間は35cm決められており、JTがすべてこれをチェック点検しているとのこと。しかし、125cmの間隔ではさらに葉が茂ると触れずして畝の間は通ることができないとのこと。この障害は非喫煙者など、症状が強く出る。
また、たばこ葉を乾燥する部屋は、吐気、頭痛がする悪臭の強い部屋とのことである。でも、たばこ葉栽培農家の収入は豊かな関係で、農家の人々のJT、財務省への信頼は強いようである。
これらの話をまとめて私は改めてたばこ栽培農家は消えることはないとの印象を強く持った。ただし、われわれは喫煙者でなくても受動喫煙でも、たばこ葉を扱っても、ニコチン中毒の起こることを再認識しておく必要がある。

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