禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

FCTCを知っている?

広島市立安佐市民病院
名誉院長 岩森 茂

WHOが開催している第56回世界保健総会において全会一致で採択され、翌年日本政府もこれを第19番目に承諾し、批准が40ヵ国となった時点で条約は発効、以後相次いで条項が加えられ、現在14条となっている。すなわち「たばこ規制枠組み条約」と日本語訳が付いているものである。毎年5月31日の世界禁煙デーになると、WHOより発表された禁煙スローガンとともにFCTCはスポットライトを当てられる。批准した国である以上、日本も国内法を改正し、新しい法律を準備してこの条約を誠実に実行しなければならないことになっているが、現実は、特に財務省が実にお粗末な対応に終始していることをまず強調しておきたい。
そこで、改めてFCTC(Framework Convention on Tobacco Control)について、その主だった部分を抜粋し、簡単に説明を加えていきたい。
1.第5条3項...一般的義務として公衆衛生的政策を立てて、たばこ産業から国民を守る最も重要な案であり、政府は断固たる政策を実施すべきである。JTが実施したのは、たばこの危険性を警告した文言を2005年7月からたばこ包装に印刷したことだが、そのなまぬるさは海外の写真入り警告文の厳しさに及ぶべくもない。
2.第6条(税、価格を上げる)...たばこ需要を減少させる効果的手段であるが、ご存知のごとく小宮山厚労相の増税案もいつの間にかうやむやとなった。すべての国で税額はたばこ小売値の70%を超えることを目指すべきである。これによって若者の喫煙率を減らす効果がある。
3.第8条(受動喫煙防止)締約国はたばこ煙にさらされることにより、死亡、疾病などの障害が引き起こされることを認識し、公共の場所や屋内職場などにおけるたばこ煙被害に対する効果的予防措置を講じなければならない。
(註:わが国では健康増進法という法律の中に受動喫煙防止条項があるが、その中身たるや努力義務を謳うだけで強い警告には程遠い)
4.第9条、10条(全般的な義務、たばこ製品の成分抑制、情報開示など)...省略する。
5.第11条(たばこの包装及びラベル)...全般的な義務として明瞭で効果的な健康警告を示し、誤解させるような宣伝を排除する(例えば、ライト、マイルド、ロータールなど)。たばこ有毒警告は包装の主たる表示面の50%以上を含め、写真または絵によることができる。
(註:JTも国外向けには写真入りの警告文を印刷販売している。知らない国民が多い)
6.第12条(教育)...たばこ煙にさらされる習慣性健康に対する危険性を十分教育する。
7.第13条(広告、宣伝の禁止)...販売促進、スポンサーシップの制限・禁止。特に自動販売機は宣伝と販売促進手段となっており、禁止すべきと述べている。
8.第14条(依存症の治療)...たばこ使用中止に伴う適切な依存症治療の促進。これは厚生労働省も世界にならって包括的対策をとっている。
以上、大略を述べたが、わが国の現状はなまぬるい受動喫煙防止法、未成年へのたばこ販売禁止、たばこ栽培農家に対する経済的に実現可能な転作の奨励、効果的たばこ害警告法、たばこ税値上げに抵抗するJTとそのロビイストの底力は根強いものがあり、FCTCの詳しいガイドラインを示すことが恥ずかしいほど、日本の行政の対応はお粗末である。

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