禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

紙巻きたばこのひとりごと

広島市立安佐市民病院
名誉院長 岩森 茂

 ライターやマッチで火をつけて口にくわえて 煙を吸い、そして吐いてもらえば、大体5分くらいで約2/3の先端部分は灰となって、残った吸い殻部分は廃棄されるのが運命だ。この紙巻きたばこを無垢のまま放置する人は、吸う目的以外に使う人しかいないであろう。良質の紙に巻かれたたばこの運命を、いろいろな場面から紙巻きたばこの独白として、振り返ってみるのも面白いかと思われる。
 まず火をつけた途端にたばこは発火剤となる。アメリカでも日本でもそのポイ捨て(不完全なもみ消しとポイ捨て)が大きな山火事の原因となっている。私(紙巻きたばこ)は言いたい!!たばこのポイ捨ては絶対にしてほしくない。東京都千代田区などで、ポイ捨て禁止条例が施行されているが、これは罰金の多少に関わらず守ってほしい。おしなべて日本はポイ捨て王国にふさわしい現象を呈している。バンコクなどでは吸い殻はほとんど見受けられないし、ポイ捨てはセカンドクラスの人間に見られるという。
 私は食べ物ではない。広島県の某小学校で、給食のパンの中に私を折り込んだ事件があったが、あまりにもひどい。私の名誉が傷つく事件だ。最近は高齢化社会の出現で認知症の患者も増えてきた。不幸なことにたばこを手離さない患者もいる。困ったものだ。日本のあちこちにかかる患者を収容する施設の火事が報告されている。私は言いたい!!入所する時にはマッチ、ライターとたばこは絶対持ち込まさないことだ。敷地内禁煙を規制していても、本人の理解度が低いために家族と施設管理側との頻回のチェックが必要だ。
 ドイツ老人病院ではスモーカーは乳首を吸う欲求を潜在的に持っているといい、禁煙方法として「おしゃぶり」を代替品として支給したところ、常時おしゃぶりをくわえるようになり、たばこを忘れたとの論文があった。
 それにしても、たばこのパイプ部分の運命について正しく理解していない人が多い。パイプはプラスティックでできているため、水には絶対溶けず、燃やさなければ消失しない。有料自動車道のサービスエリアでしばしばトイレがつまる事件があり、原因を追究すると吸い殻のポイ捨てであったとのこと、以後公衆トイレに大きな注意書が貼られたことはもちろんだ。私には残念ながら放射能物質、ポロニウム、ラジウムが混入しているし、燃えると発がん物質も生成されることも分かっている。毒物の缶詰、地球最大の発がん物質と揶揄されているが、これは否定しない。私にはマイルド、ライト、低タールなどの銘柄がついているが、これはJTなどの宣伝で、まったく誤りであることを告白しておきたい。言い忘れたが海岸清掃を行った人々の統計で、最も多いのが吸い殻であったとのこと、おまけに吸い殻を焼却する時には多量のダイオキシンが生成されることは小学生でも知っている事実だ。
 たばこ販売を促進するために、最近では私にメンソールを加えて清涼感をかもし出す戦略もあるようだが反対だ。ただし、吸い殻買取り制度を事業者に課す動きも出ているようだ。この対策は最後までみにくい姿を見せたくない私のプライドとしては大賛成だ。

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