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禁煙に関するコラム

たばこポロニウム含有問題...

広島市立安佐市民病院
名誉院長 岩森 茂

 すでに私はたばこの中に含まれるポロニウム、ラジウムなどの問題を、本キャンペーンで提起したことがある。その時に、「喫煙は肺内で原爆を爆発させているようなもの」との、アメリカのニューヨークタイムズの記者の発言を引用している。
 私の発言が今ごろになって生きてきたことをまず述べてみる。10月17日、日本禁煙学会作田学理事長らが緊急声明を発表するとともに、厚生労働省に対し小宮山大臣宛の要望書を提出した。残念ながらマスコミ各社の取材および報告がなかったので、その声明文を以下に紹介しておく。

日本禁煙学会緊急声明

1.タバコにポロニウムが相当量含まれていることは事実である。
2.燃焼すると、タバコ煙中の毛髪状粒子に吸着する。
3.タバコのフィルターは何の効果もなく、97%まで通す。
4.吸引すると気管支分岐部がホットスポットとなり、毛髪状粒子が高濃度に吸着する。
5.ホットスポットのポロニウムが十分に肺がんを引き起こすことも証明されている。タバコ産業の科学者による見積もりによれば25年間に喫煙者1,000人のうち120~138人の超過死亡がおこると計算できる。
6.タバコを吸うとベンツピレンなどとの複合汚染となり、高率に肺がんを引き起こす。
7.タバコ産業は1980年にはすでに酸処理やレジンフィルター処理でポロニウムを99%除染する方法を知っていたが、何の対策も行わなかった。
8.日本はタバコに世界で最も高濃度のポロニウムが含まれている国の一つである。
9.副流煙にも主流煙の1~4倍のポロニウムが存在し、受動喫煙は危険である。
10.まだ喫煙を続けている方は、これらの事実から、ただちに喫煙を中止してほしい。
11.すべての喫煙所・喫煙室・喫煙コーナー・喫煙席をただちに閉鎖し、タバコ・吸い殻・タバコの灰・タバコの煙は放射性物質と認識して取り扱い、これらがある場所に人は近づいてはならない。


 以上がその全文である。特に最近、「Nicotine & Tobacco Research」という権威ある雑誌に、アメリカ・カリフォルニア大学の Karagueuzian 教授らが投稿した「Cigarette smoke radioactivity and lung cancer risk」(2011.9.27)の論文に触発されたものと思われる。
 いずれにしろ時宜を得た声明であり、東日本大震災でいろいろな植物や動物に微量の放射性物質が検出され物議を醸しているが、われわれが日常致し方なく被曝しているたばこ煙の中に、微量の放射性物質が存在することを、われわれ医師は常識として知っておいてほしいのである。

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