禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

人は何故に煙草を吸い出すのだろうか?

広島県医師会禁煙推進委員会委員
済生会呉病院 木戸 幸司

 これが解明されれば新たな喫煙者が生まれるのを防ぐことができるだろう。ある人はなんとなく友達が吸っているから、またある人はなんとなく格好いいから、またある人は間がもたないからといった理由から吸い始めるのだろう。いずれにしても多くはなんとなくである。少なくとも私の友達で今度の誕生日から、あるいは来年の一月一日から煙草を吸い始めて立派な smoker になろうと決心して smoker となった人はいない。とするとなんとなく吸い始めるのを防止できれば、新たな smoker は生まれず自然に無煙社会となるであろう。重大な決意を持って始めるのではなく、なんとなくであるからこれを防止するのは比較的簡単であろう。すなわち、人間にとって煙草を吸うことはきわめて格好が悪く、また健康にもきわめて悪い影響があることが世間の人々の共通の認識になれば、smoker になる人は減少していくだろう。そのためにはテレビや映画で喫煙場面を映さない、また煙草のパッケージのデザインに強い規制を加え、現在のこじゃれた、またいかにも女性をねらったようなパッケージはできなくする必要がある。
 次には教育だ。無知と貧困が犯罪の温床になるように無知が smoker を生んでいるのである。教育に当たっては小学校高学年で開始する必要がある。具体的な肺癌のマクロ写真、またCOPDでHOTを行っている様子をスライドで見せる、また疫学的なデータを科学的根拠を示しながらわかりやすく説明することが必要だろう。
 こういったことで新たな smoker の発生を防ぎつつ、現在すでにニコチン依存症に落ちている人にも救いの手を伸ばさなければならない。忙しいのである。Smoker の多くはできたら禁煙したいけど自分には無理だ。無理なことはすまいと思っている人も多い。彼らになんとか禁煙に挑戦してみようと思わせるためには、せこい方法ではあるが煙草の再値上げも一定の効果は期待できる。Smoker には禁煙外来をうまく利用していただければいいなと思っている。Smoker はあきらめやすく自信がないのである。無原則努力主義で頑張るより禁煙外来を受診して励まされたり褒められたり、あるいは薬を併用したりの方が明らかに禁煙の成功率は高いのだから。
 このようにして新たな smoker を発生させないようにし、また smoker には禁煙の決心をさせ、またこれを援助して成功に導く。こういった努力で無煙社会を実現したいものである。
 いずれにしてもなんとなく吸い始めたらこれをやめるのはかなり大変である。まだ、煙草を吸ったことのない青少年が将来決して煙草を吸い始めることのないよう心から願っている。

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