禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

禁煙外来をするとこんなよいことがある

本通トータルヘルス内科クリニック
平賀 裕之

 広島県には保険適用で禁煙支援できる医療機関が、現在442施設(2011年1月現在)あります。広島県医師会としても勉強会などを開催し、さらに多くの医療機関で禁煙外来を行っていただき、禁煙希望される方が禁煙外来を受診しやすい環境を整えようとしています。
 一方で、「禁煙支援はやったことないから、禁煙外来はしない」とか、「禁煙外来をしても儲からない。呼気中一酸化炭素濃度測定機を購入しなければならないので金銭的に難しい」など、禁煙外来に消極的な医療機関があるのも事実です。
 そこで今回の禁煙コーナーでは、「実際に禁煙外来を行うとこのようなよいことがあります」という私の感想を紹介したいと思います。

1.禁煙成功したときの喜びを分かち合える
 医療の基本ともいえるでしょう。患者さんの苦痛を取り除けた時の喜びを分かち合えます。タバコが体によくないということは多くの方がご存じです。しかし、やめたくてもやめれないのがタバコ。喫煙される本人だけでなく、ご家族も同様に、やめてもらいたいのにやめてもらえないというジレンマが何十年と続いているのです。そんな中、禁煙成功に導くと、本人だけでなくご家族も大変喜ばれます。それはまるで、急性心筋梗塞を発症し救急車で搬送されてきた患者さんを心カテ治療で救った時にご本人やご家族が喜ばれるのと同じくらいです。われわれ医療従事者にとっても「命を助けた、患者さんの苦痛を取り除けた」という達成感や充実感があり、それは禁煙成功の時も、心カテで心筋梗塞の治療をした時も同じ感覚です。外科系の先生にとっては、手術で命を助けた時と同じ喜びを禁煙成功の時に感じることができるでしょう。

2.チーム医療が展開でき、クリニックスタッフのモチベーションが上がる
 医師は通常の診療があるので、禁煙外来に時間をあまりとれません。そこで当院では禁煙外来で禁煙指導するのは主に看護師が行っています。看護師が時間をかけ指導した後に、医師が全体を総括する形で最後に5分から10分程度お話します。
 総合病院では入院患者さんの治療方針など看護師も積極的に話し合いに介入する機会があるでしょうが、クリニックの看護師は医師の指示のもと採血や点滴をするだけに終わっていることも多いのではないでしょうか。そのような看護師にとって、禁煙外来で受け持った患者さんに禁煙支援することは、責任を感じると同時に大いなるやりがい感が生まれます。さらに医師、看護師、事務受付などで情報を共有し、みんなで禁煙支援することでチームワークが生まれます。そのチームワークは禁煙外来にとどまらず、通常の診療でも発揮されるので、患者さんからの評価も上昇します。

3.禁煙成功者と医師との信頼関係は強固なものとなる
 禁煙外来は3ヵ月間に計5回受診され終了となります。しかし、長年タバコを吸い続けた方は、COPDなどいろいろな疾患がすでに発症している場合も多く、その治療のために引き続き継続して来院される場合がしばしばあります。タバコ関連疾患だけでなく、それまで検診で指摘されるも放置していた高血圧や脂質異常症なども、禁煙をきっかけに健康に対する意識が芽生え、治療を希望されることが多くあります。さらに、禁煙外来の3ヵ月間に培った患者さんと医師・クリニックスタッフとの信頼関係は強固なものとなっており、高血圧などの治療を開始した後、途中で来院されなくなることはまずありません。

 禁煙支援は医師の専門領域に関係なく、あらゆる分野で必要なことであるといえるでしょう。先生方が、「禁煙外来やってみようと思うから、みんなでちょっと勉強してみよう」とクリニックスタッフにいうだけで、新たなさわやかな風がクリニックに吹くかもしれませんよ。

戻る