禁煙コーナー

禁煙に関するコラム

タバコ税増税その後

広島県医師会禁煙推進委員
津谷内科呼吸器科クリニック
津谷 隆史

 昨年の医療ニュースをふりかえると、新型インフルエンザワクチン供給後の大量余剰から始まり、猛暑の熱中症による搬送者、死者の急増、冬になってノロウィルス感染者の広がりが記憶に新しいところです。しかし、なんといってもこの禁煙コーナーでとりあげなければならないのは、10月のタバコ税増税です。
 この増税をきっかけに、値上げ前にタバコの買いだめをされた方、値上げされても強い意志で喫煙を継続しようと決意された方、禁煙にチャレンジするため禁煙外来を受診された方など、喫煙者の方々にとってはたいへんな年になったようです。
 値上げをきっかけに禁煙を考えた方がその後、禁煙に成功しているかを調査した結果が昨年12月に発表されました。この調査はジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社が、昨年8月時点で喫煙していた日本全国の男女316名を対象に、10月に実施されたタバコ税増税で喫煙者にどのような変化があったのか調査したものです。その結果をまとめると以下のようです。

■増税前は喫煙者の6割が禁煙にチャレンジすると回答。実際にチャレンジしたのは4割以下。
■禁煙にチャレンジした人のうち、すでに約6割が禁煙に失敗。増税前は53%が禁煙に成功する自信があると回答。
■禁煙に失敗した人の8割が、年末年始にもう一度禁煙にチャレンジしようと思っている。
■禁煙チャレンジの際に、試したグッズや治療は「特にない」(53.2%)、電子タバコ(23.9)、薬局で禁煙補助剤(ガム)(15.3)、禁煙パイポ(9.0)、薬局で禁煙補助剤(パッチ)(8.6)、禁煙外来(2.7)。
■禁煙にチャレンジしなかった人の増税対策は1位「買いためた」、次いで「吸う本数を減らした」。
http://www.jnj.co.jp/group/press/2010/1207/index.html#ENQUETE01

 すなわち値上げ前に「禁煙しよう」と考えていた人は6割近くいたが、実際に「禁煙をはじめた人」は4割にも満たず、さらにその禁煙が継続できている人は「禁煙を開始した人のうち」半分にも満たなかったというものです。結局、全体比で見れば、禁煙継続者は15.5%に過ぎないとの結果でした。この中で注目したいのは禁煙チャレンジの際に、試したグッズや治療があるかとの質問です。半数以上の方が、"特にない"ですが、禁煙外来受診された方は2.7%にしか過ぎなかった点です。
 現在、医療の中で、禁煙は治療として確立してきています。禁煙成功率も、バレニクリンが発売され、60-80%と高率になっています。値上げ前に禁煙しようと考えていた6割の人たちが、一人でも多く、禁煙外来の門をたたくことができれば、バラ色の無煙環境を提供できたのではないでしょうか。
 今年は、広島県医師会が中心になり、禁煙外来に気軽に受診できるような環境づくりと県民への治療としての禁煙の認知を進めていきたいと思います。また、より多くの医療機関で禁煙治療ができるよう施設認定に向けてのサポートを禁煙推進委員会でもおこなっていければと考えています。

禁煙治療の保険施設の医科医療施設数に占める割合の都道府県ランキング
2010.12.27現在

TOP5BOTTOM5
1 徳 島  14.9%43 宮 崎  9.1%
2 広 島  14.8%44 神奈川  8.9%
3 山 形  14.8%45 熊 本  8.8%
4 富 山  14.1%46 京 都  8.8%
5 沖 縄  14.0%47 東 京  8.0%

日本禁煙学会 http://www.nosmoke55.jp/

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