会長挨拶

会長 平松 恵一

1 会務運営の基本方針について

わが国の高齢化は世界に類を見ない早さで進んでおりますが、超高齢社会においても、県民の幸福の原点は健康にあると思います。そのためには予防対策も含めた効率的で質の高い医療・介護提供体制の構築が最重要課題であります。それを県内すべての地域で実現するため、それぞれの地域の実情に合わせて、市郡地区医師会の先生方との「対話」を重視し、力を合わせて取り組むことこそ、県医師会に課せられた社会的使命と認識し、その実現のため、今期のスローガンは「更に進化した医師会運営を」ということで、今後とも様々な取り組みを進めたいと考えております。

まず、「公平・公正」「透明性」「説明責任」「情報開示」を今後とも、基本理念として、医師会活動を行い、併せて次世代の医師会を担う人材育成にも取り組むとともに、日本医師会に準じ公益組織として県民から理解される医師会となるよう公益社団法人化を目指します。

2 広島県医師会のあり方

本会の「広島県医師会あり方検討委員会」の提言に基づき、「県民が安心して暮らせるための四師会協議会」を設置し、地域包括ケアシステムの構築に向けて関係団体と連携を図りつつ積極的な取り組みをしてまいります。また、同じく「あり方検討委員会」の提言により設置した「広報戦略室」の役割として効果的な広報活動に務めます。医療に関する広島県民意識調査結果等も踏まえて、より戦略的な対外広報の推進に取り組んでまいります。

3 勤務医・女性医師活動の推進

医師の働き方改革では、本会では、女性医師等の子育て環境の整備を図ることにより、医師不足の緩和や地域医療全体の底上げを図る目的で、子育て支援事業(保育サポート事業)を平成30年度から実施します。広島県においても20代・30代の医師では女性の比率が3割を超えており、結婚・出産・子育てを契機とした離職により、相対的に医師不足が進むことが予想されます。そこで、女性医師の離職防止対策として、子育て環境を支援するシステムを構築することとし、現在鋭意準備を進めているところであります。

4 国際交流関係

国際交流関係では、平成30年度は、広島県が隔年で実施している「在南米被爆者健診」に対し医師団を派遣する予定です。また、同じく隔年で実施しております「在北米被爆者健診」についても、平成31年度から県行政へ移管し、「在南米被爆者健診」と同様に、県が主体となって運営し、本会としては、医師団派遣について協力を続けることとしています。

IPPNW(核戦争防止国際医師会議:以下IPPNW)についてですが、横倉義武日本医師会長をIPPNW日本支部代表支部長として迎えた新たな体制のもとで、さらなるIPPNW活動の活性化を図ります。また、平成30年度は、9月にモンゴルにて「第10回IPPNW北アジア地域会議」が開催され、本会からも参加いたしました。

5 社会保障活動

消費税増税は、来年2019年10月に10%への消費税増税が予定されており、今年の年末に策定されます2019年度の税制改正大綱が大変重要となってきます。医療に関する控除対象外消費税問題については、抜本的な解決が図られるよう、本会としても、県選出国会議員等に対し、働きかけを続けるなど、日本医師会と連携して取り組んでまいります。

6 保健・医療・福祉活動の推進と連携

平成30年度は、われわれ医療関係者にとって極めて重要な節目の年であります。いわゆる2025年問題やその先を見据えた地域医療構想を含む「第7次保健医療計画」と「第7期ひろしま高齢者プラン」の実現に向けて具体的に着手する年です。超高齢社会を見据えて、医療機関による自主的な病床機能の分化・連携の推進、効率的で質の高い医療・介護提供体制の構築と共に、地域包括ケアシステムを構築し、切れ目のない地域完結型の医療を目指さなければなりません。そのためには、かかりつけ医を中心とする医療と介護の密接な連携体制が求められており、医師会の果たす役割は極めて重要です。市町や県行政、地域包括ケア推進センターなどの関係機関と協力しながら高齢者が住み慣れた地域で最期まで安心安全に暮らし続けることが出来るよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援などサービスの一体的な提供が可能となるよう取り組んで行きます。

また、喫緊の課題であります、医師不足については、今後増加するふるさと枠の医師に期待するとともに、看護師不足については、本会としても、医師会立看護学校の経営の安定化や環境改善整備の実現に向けて、日本医師会や県行政へ要望を行うなど更なる支援を行います。

この度の西日本豪雨災害において、多くの成果と共に、課題も指摘されました。今後、災害医療体制の整備、集団災害医療救護訓練の実施とともに、引き続き関係団体と協議してまいります。

そして、今後、高齢化が進展する中で、持続可能な社会保障制度を堅持するためにも、県民の健康意識の向上や健康寿命の延伸、受動喫煙の防止などに積極的に取り組むとともに、健康情報の発信を進めてまいります。

さらに、学会等で臨床研究の発表を行う際には、倫理審査委員会の審査を受ける必要もあることから、本会に臨床研究倫理審査委員会を立ち上げました。大学や病院には倫理審査委員会がありますが、開業医の先生方においても臨床研究の審査を受ける場が求められているということで設置致しました。ぜひとも多くの会員の先生方に利用して頂きたいと思っております。

7 情報関係

「ひろしま医療情報ネットワーク」(以下:HMネット)では、診療情報開示については、広島市立病院機構の4病院(広島市民病院、安佐市民病院、舟入市民病院、広島市立リハビリテーション病院)、三次地区医療センター、JA吉田総合病院が開示を開始しました。また、新たに興生総合病院、県立広島病院、呉共済病院を開示病院として整備し開示を開始しています。健診・検査結果情報開示については、三次地区医師会検査センターを整備しました。

課題もありますが、HMネット参加施設を増やすことや、使い勝手や利便性の向上を図るとともに、HMネットの将来像や運営体制などについて県行政などと密接に協議しながら、HMネットの更なる普及に向けて尽力します。

8 医療安全対策、医療苦情相談・医事紛争対策

平成27年10月に開始された医療事故調査制度が、今後さらに浸透し医療界に定着していくためには院内事故調査に関わる人材育成が極めて重要といえます。昨年度は、横倉義武日本医師会長から、日本医師会医療安全対策委員会(委員長:平松恵一)に対し、「医療事故調査制度における確実な院内事故調査を担える人材育成のあり方について」諮問を受け、具体的な対応として「医療事故調査制度管理者・実務者セミナー」を全国7カ所において開催し、「支援団体統括者セミナー」については全国2カ所(東京・広島)で開催致しました。今後とも、この医療事故調査制度が適切に運用され、医療事故の再発防止につながることにより、真の医療安全が確保され、併せて会員の先生方が安心して医療を行えるよう支援します。

9 広島県医師会館(二葉の里)

広島県医師会館は、広島県地域医療再生計画に則り、東区二葉の里に移転して、はや2年半余りが経過しました。こうして、この会館で会員の先生方とともに会務を遂行することができますのは県医師会の多くの諸先輩のご尽力の賜であり、あらためて感謝を申し上げます。また、入居されておられる関係団体の広島県病院協会、広島県医師国民健康保険組合、広島県医師協同組合、公益財団法人広島県地域保健医療推進機構(以下:機構)の広島県地域医療支援センター及び広島県地域包括ケア推進センターとは引き続き連携を進めます。

さらに、二葉の里地区には、平成29年1月に広島県歯科医師会館、平成30年8月には広島県薬剤師会館が建設、転移され、三師会が隣接することになりました。今後とも、より一層の連携を図ってまいります。

広島県医師会館の運営管理については、中長期的な視点から健全に行えるよう適切に対応していく所存です。

10 広島がん高精度放射線治療センター

広島がん高精度放射線治療センター(以下:センター)は、平成27年10月1日から広島県より指定管理者として指定を受け、本会が管理・運営を行っておりますが、平成29年7月から消費税対策もあり、利用料金制へ移行致しました。また、センターの、平成29年度収支(ランニング部分)では、3,100万円余の黒字となりました。これは、永田靖センター長をはじめ職員や関係者が一丸となって、広島県のがん医療の水準向上と県民への安心・安全ながん治療の提供に尽力された成果といえます。今後も、広島市内の4基幹病院はもとより、県内のがん診療連携拠点病院等と幅広く連携し、県内のがん医療の向上のため、放射線治療に係る人材育成や精度管理等の技術支援を含め、さらなる円滑な施設運営に向けて、引き続き取り組んでまいります。

11 今期の取組方針

このように、広島県医師会は、会員とともに考え、「会員にとって価値ある医師会」「県民の目線で実践する医師会」さらにはこれまでの集大成として、「更に進化した医師会」を目指してまいります。そして、市郡地区医師会の先生方と共に、県民の健康、疾病の予防・治療に責任を持って、対応できる医療提供体制の構築を図ってまいります。そのためには医療現場からの生の声を汲み取り、日本医師会、さらには国・県等に提言し、県民の健康、そして「幸福」に貢献出来るように努力致します。


広島県医師会について